訪問リハビリの魅力
私が作業療法士の免許を取得したのが2007年のこと。現在までリハビリ病院、デイサービスが併設された訪問看護ステーション、単独の訪問看護ステーションの三カ所に籍を置き現在に至ります。訪問リハビリに初めて触れる機会があったのが臨床実習の時でした。
実習先のリハビリ病院で、午前中は訪問リハビリ、午後は院内のリハビリという少し変わったスケジュールでお世話になっていました。当時の自分は訪問リハビリは難しいという印象が強かったですが、今思えばよい環境だったと思っています。
利用者さんの本性が垣間見れる
訪問リハビリで利用者さんのお宅に伺っていると、病院では見せない〝顔〟を見せてくれることが多くあります。入院期間中、リハビリを受けている患者さんの時には、担当セラピストの指示通りにリハビリをこなし、早く退院できるよう努めます。いわゆる〝アウェイ〟の状況でリハビリが展開されています。
一方、訪問リハビリの場合には、利用者さんの家にセラピストが訪問をしてリハビリが行われます。こちらは病院とは反対に〝ホーム〟の環境でリハビリに取り組むわけです。自分の家にいるのであれば、誰に遠慮をする必要もなく、ありのままの利用者さんが姿を現します。利用者さん〝らしさ〟が見られる点は訪、問リハビリ一番の醍醐味ではないでしょうか。
病院のリハビリに活かすことができる
これは、私が勤務していたリハビリ病院で学んだことですが、回復期にあたる期間のリハビリに携わっているセラピストであれば、一度は訪問リハビリを経験したほうがよいと思っています。多くの患者さんが回復期病棟でリハビリを受けて自宅に戻られます。その時にどの辺に不便さを感じるか、生活動作の質がどの程度維持できるのか、患者さんや家族と予後予測のイメージを共有していく必要があります。
そんな時、訪問リハビリに1年から2年でも訪問リハビリに携わっていると。より的確で詳細なアドバイスが行えるだけでなく、家での生活を想定したリハビリの質も高いものが提供できるようになります。実際に私も訪問リハビリを経験することで、家族の介護がどれほど大変か、病院のリハビリがそれほど役になっていないこともあったんだと思い知ることができました。
利用者さんと長く付き合える
これは個人で捉え方が異なる部分かとは思いますが、病院では短くて2週間、長くても半年ほどで退院、転院されてしまうことが多いのに対して、訪問リハビリではひとりの利用者さんを長い期間担当させてもらうことができます。病院では退院していく患者さんの〝その後〟を思いやることはあっても、なかなか知り得ることはできません。訪問リハビリでは、そこから先の生活に携わることができるのです。
私も過去に6年間在籍していた訪問看護ステーションでは、6年間ずっと担当が変わらずリハビリをさせて頂いた利用者さんがおりました。その方の中学一年生だったお孫さんが大学生になっていたのには驚きましたが、長い年月が経過するとともに〝老い〟との戦いにも一緒に立ち向かっていく貴重な経験をすることができました。
まとめ
訪問リハビリの魅力
⑴利用者さん本来の姿を見ることができる
⑵訪問リハビリを経験することで病院で行うリハビリの質を高めることができる
⑶利用者さんの生活に長い期間寄り添うことができる
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