お金のトラブルが縁の切れ目
病院でリハビリをしている時は、リハビリを受けて支払う金額を気にする患者さんは少ないと思います。実際にリハビリをしている療法士自身も、自分が行うリハビリでいくらの請求が発生しているか把握している方は少ないのではないでしょうか。
一方の訪問リハビリでは、担当者が毎月請求書を手渡しする事業所が多く、自身が提供するサービスに掛かる料金を知っているのが当たり前といっても過言ではありません。
お金の流れがみえやすい分、利用者さんとの間に生じる金銭トラブルも多く遭遇することになります。
指示書の発行手数料
意外と知られていないことですが、訪問看護やリハビリサービスを受ける際には〝訪問看護指示書〟という書類が必要になります。この書類は、利用者さん自身が主治医に依頼して発行してもらうのですが、当然お金が掛かります。
1割負担の方で300円、3割負担の方は900円が一般的な金額です。
退院後すぐに訪問サービスを受ける際、入院中に書類を作成するため、料金は入院費に含まれているのです、その後、期限が来て更新する際にも手数料は発生します。この時に指示書の料金を知り〝文書料を請求された〟という問い合わせがステーションに来ることも少なくありません。
指示書の期間は主治医の裁量に任されているので、期限上限の6ヵ月間で出す先生もいれば、1ヵ月単位で細かく指示する先生もいます。どちらも金額は同じなので、利用者さんからすると細かく指示を出されるほど負担金額は増えてしまいます。
これがきっかけとなり、料金の支払にに納得できない旨のクレームから訪問サービスを終了されてしまうケースは少なからずあるようです。契約時に説明をしていても生じてしまうことがあるため、指示書の更新をする時は事前に確認を取っておくことをお勧めします。
負担割合が大きいケースは要注意
介護保険では、多くの方が1割負担でサービスを受けています。前年度の個人、または同一世帯の合計金額が一定以上になると、2割、3割と負担割合が増えていきます。
自営で会社を経営している方、家族で事業を営んでいる方、前年度まで現役で勤務していた方が当てはまりますが、3割負担といっても金銭的に余裕があるとは限らないため、利用料金は意外と大きな出費になっていることに注意が必要です。
一時間のリハビリを受けた場合、1割負担であれば〝903円〟ですが、3割負担となると〝2709円〟となります。一ヵ月間で4回利用した場合〝10836円〟の請求になります。毎月一万円の出費をしてまでリハビリを続けてもらうには、かなりの信頼関係と成果が求められてきます。
また、利用するサービスは訪問リハビリだけではありません。デイサービスやヘルパー等のサービスを使っている場合には、リハビリの優先順位は低く、長時間携わってくれるデイサービスや、家事や生活の支援をしてくれるヘルパーサービスに比重を置くことになります。
毎月掛かってくる介護保険の利用料金を抑えるために、リハビリを削るという選択肢は多いにあります。打ち切られてしまっても気にしないほうがよいでしょう。
現金のやり取りはその場で決算を
料金の支払いについては、現金か口座引き落としのどちらかで決済することになります。多くの方は口座引き落としを利用していますが、なかには現金での徴収を希望される方もいます。
請求書を渡した時、手持ちにおつりの用意がなかった場合の対応はどうしたらよいでしょうか。
現金を預かって次回訪問時におつりを渡すこともでますが、これで生じるトラブルもあります。おつりを支払っても〝もらっていない〟と勘違いしてしまう方もいるので、現金で徴収する場合はその場できっちり清算できる準備をしておく必要があります。
また、まれに財布を開けてお金を取ってほしいと言われることもあります。極力利用者さん自身でお金を扱ってもらうように促しますが、できない場合は必ず利用者さんの前で財布を開けるようにしておくことが大切です。
まとめ
訪問リハビリで気を付けたいお金のトラブルは
1,訪問看護指示書の発行手数料(文書料)の存在を知ってもらう。
2,負担割合が増えるにつれ、リハビリが継続される可能性は低くなる。
3.現金のやり取りは、万が一にも疑いをもたれないように立ち振る舞う。
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