歩行距離を測定する際の方法と注意点

訪問リハのこと

実用的な歩行練習とは

訪問リハビリの目的にひとつに〝屋外歩行練習〟があります。

病院や施設でも屋外歩行を実施することはありますが、在宅で行う歩行練習は日常生活に直結する〝実用的な歩行〟を再獲得するために行う方がほとんどです。

なかには、リハビリの時間しか歩かなくてもよいという方、家の前を何往復もしていつまでも遠出をしようとしない方などもいたりするので、関わり方は千差万別ですが。

歩行のモチベーション

歩行の目標設定には、〝杖を使わずに歩く〟〝行きつけのスーパーまで買い物に行く〟といった具体的な目標以外にも、様々なモチベーションで臨んでいる方がいます。

私自身が出会った利用者さんの中には〝家の前の廊下を歩く〟ことが歩行練習の目的になっている方がいました。

その方は毎日自主的に歩行練習に取り組まれ、近所の公園まで歩く能力を有していたにも関わらず、頑なに自宅の敷地内から出ようとしませんでした。その方は〝家の前を歩くこと〟が歩行の目的になっており、そこから先は関心がないことがわかりました。

歩く目的は人それぞれあっていいと思いますし、ここで無理に目標設定をステップアップしてしまうと、利用者さんからの信頼を失うこともあるので慎重な介入を要すると思います。

あえて正確に測定しないほうがよいことも

そんな日々が続くなか、利用者さんから歩行している廊下の距離を測定してもらいたいという依頼を受けました。利用者さんの見立てでは、廊下は50mあり、毎日10往復しているので1kmは歩いているのではないかということでした。

会社に戻ってGooglemapで距離を測定すると、35mの表示と表示されました。翌週、そのことを伝えると利用者さんは激怒され、叱責を受けることになりました。

〝そんな訳がない!〟〝ふざけるのもたいがいにしろ!〟と怒りの感情が溢れ出した様子から、ご自身が今まで1kmだと思っていた歩行距離が、実際は700mだったことを受け入れられないことはすぐにわかりました。

〝パソコンで適当に測定した距離など信じられるわけがない!〟というセリフとともに、その日はその時点でリハビリを中止です。後日メジャーを使って実測させてもらう約束をして、退室しました。

その後、実際に測定した結果は35mでしたが、今回の件がきっかけでリハビリは終了となってしまうのでした。さすがGooglemap。正確な距離を測定していました。

今まで利用者さんが信じていた大切なものを、土足で踏みにじってしまった苦い経験でした。あの時、噓をついてでも50m近い距離を伝えていたら・・・と悔やまれる出来事でした。

GoogleMapの〝距離を測定〟してくれる機能

短距離であれば、車輪がついた杖のような形をしているロードメジャーを使用すればよいと思いますが、3000円程度の出費が伴います。100円均一で5mのメジャーを買って測定することも出来ますが、面倒なのと固定用のストッパーがすぐに破損する点には注意が必要です。

結局のところ、手軽に正確な距離を測定するであれば、パソコンでGoogleMapを使うと便利です。

右クリックで〝距離を測定〟という機能を使うと簡単に測定することが出来ます。始点から地図上の経路をクリックしていくことで、終点までの距離を表示、印刷することもできます。

実際の散歩コース、最寄りのコンビニ等がどのくらいの距離にあるのかを正確に知ること、時間測定を正確に行うことにより、実用的な歩行練習に繋がっていくと思います。

ただ、私が失敗した通り、パソコンで適当に図った距離など信じられるか!という価値観の方もおりますので、慎重に選択することをお勧めします。

まとめ

歩行距離を測定する際の注意点は、

1、メジャーやロードメジャーで測定することができるが、デメリットが多い。

2、GoogleMapの〝距離を測定〟機能を使えば、手軽に正確な距離を把握することができる。

3、正確な距離測定が、必ずしも利用者さんのためになるとは限らない。

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