訪問リハビリとヒヤリ・ハット
訪問リハビリに限らず、セラピストとしてリハビリに携わっている方であれは、一度は〝ヒヤリ・ハット〟に遭遇したことはあるかと思います。臥位で治療を行っている時はそれほど心配ありませんが、起居動作練習や歩行練習の時間は特に気を張って注意をしているのではないでしょうか。
訪問リハビリでも、院内リハビリと同様にヒヤリ・ハットに遭遇することがあります。その時、病院とは違いすぐにリハビリ室にいる同僚や看護師さん、主治医の先生が駆けつけてくれるわけではありません。
所属先の事業所である程度マニュアル化さているとは思いますが、その場の状況を冷静に判断して、適切に行動するスキルが求められます。こんな時、いちセラピストはどのような行動をとればよいのでしょうか。
まずは安静肢位を
訪問中に転倒や転落事故が生じてしまった場合、まずは利用者さんが安静になれる場所へ移動します。自宅内でリハビリをしている場合はベッドやソファーなど、屋外歩行練習中であれば近くのベンチや道路の端へ移動して一息ついてもらいます。
この時、痛みや痺れの訴えが著しい場合は無理に身体を動かさず、その場所でとれる安静肢位を確保していきましょう。
外傷の確認とバイタルチェック
安静にしてもらったら、今度は外傷の確認とバイタルチェックを行います。転倒や転落をした直後の利用者さんは興奮した状態のため、アドレナリンが放出されて痛みの自覚に乏しかったリ、バイタルも高く経過されている場合があります。そのため、一息ついて落ち着いた状態でしっかりと確認してください。
看護師さんに連絡
ひと通りの状態確認が完了したら、今度は事業所の看護師さんに連絡をします。セラピストの判断でそのままでも大丈夫と思う時もあるかと思いますが、後々ににが起こるかわかりません。そのため、私の事業所では必ず連絡をするようにしています。
そこで詳しい状況を伝えて救急搬送をする必要があるか、または主治医に連絡をしたほうがよいかの指示をもらいます。
いずれの必要がないと判断された場合でも、転倒や転落があった当日中に限っては、看護師さんが定期的に経過確認の連絡を入れてもらえるとさらに安心です。特にひとりで暮らしている利用者さんについては、万が一状態が悪化してしまった時に迅速に対応するこができます。
主治医に連絡する場合
主治医の先生に連絡をする場合、状況の報告と緊急搬送の有無を確認します。担当されている先生によっては、所属先の病院やクリニックと提携している緊急搬送先がある場合もあります。
主治医の先生が訪問してくれるというケースもありますが、その時は到着時間をしっかり確認しておく必要があります。
同僚が遭遇したケースでは、先生の到着に3時間も要することが判明したため、緊急搬送の判断をしてもらったそうです。痛みで身動きが取れない利用者さんを残して次の訪問に行くわけにはいかなかったようです。
ちなみに、救急車を呼ぶときは手元に保険証とお薬手帳を用意しておくと搬送先の手続きもスムーズに行えるので準備しておきましょう。
また、セラピストの第六感で〝これは救急搬送するべきだ〟と感じたら、迷わず行動するようにしましょう。搬送せずに後々状態が悪化してしまうよりはずっとよい選択です。
訪問時間外もヒヤリ・ハットは起きている
これは訪問リハビリでよく経験することですが、日中ひとりで過ごされている方が〝訪問に伺ったら転倒していた〟というケースも多く存在します。なかには転倒したまま起き上がることができなくなってしまい。長時間そのままで過ごしていた方もいました。
また、訪問リハビリが終わってセラピストが帰った後に転倒してしまったということもあります。いずれにしても、利用者さんの生活環境、動線上のリスク管理はしっかりとしておく必要があるようです。
まとめ
訪問リハビリ中のヒヤリ・ハットが発生したら
⑴まずは安静にして状態確認をする。
⑵事務所の看護師、主治医に連絡をしてその後の指示をもらう。
⑶最後は自分の第六感を信じ、迷わず救急搬送を。
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