周囲に人がいない環境で生じるトラブル
リハビリを利用されている方の中には、一定の割合で認知機能が低下されている方がいます。年相応の物忘れ程度の症状から、毎回会うたびに〝はじめまして〟と挨拶をされる方まで症状や程度は様々です。
訪問リハビリの利用者さんとの関わりは長期間になることが多いため、症状の進行状況に応じて接し方を変えていくなどの対応も必要となってきます。当然ですが、認知機能によるトラブルも発生しやすくなってくるのも事実です。
ご家族が常に同伴されている場合は良いのですが、独居などの理由により〝周りに人がいない〟という状況には、関わり方にも注意が必要になります。
誤解を招く行為はしない
訪問リハビリでは、介護保険証や医療費自己負担額の確認作業がつきものです。病院では事務さんがやってくれている作業も、訪問リハビリでは担当スタッフが担う必要があります。
必要書類を見せてもらう際に、どこにしまったのか分からずに机やカバンの中を探させてもらうことがあるのですが、この時の光景が後に大きなトラブルとなる可能性があります。
机や引き出しを探していた光景が印象に残り〝お金や宝石を盗まれた〟というクレームに発展することがあります。こうなってくると、証人がいない以上利用者さんの気持ちが治まるまでどうすることもできません。怒りや不快な感情は根深く残ります。
第三者が立ち合っていない状況では、こうしたやりとりは極力避けたほうがよいと思います。必要書類は担当のケアマネジャーと情報共有を図るなど、トラブルを未然に防ぐ対応をしていく必要があります。
大事なことは書面に残す
訪問スケジュールの変更や祝日の振替など、訪問時間がいつもと違う場合は、口頭のみの約束ではなく、付箋やメモなどの〝書面〟に残す必要があります。
私も何度が失敗してしまったことがあるのですが、訪問時間を調整する際に電話連絡で済ませてしまい、予定時間前に〝約束した時間を過ぎても来ない!〟とお怒りのクレームを頂いたことがあります。
こうしたケースでは、こちらの正当性を主張することは自身の免責意外にあまり良い結果には繋がりません。利用者さん自身の勘違いを責めることは何の解決にもならないからです。
未然に防ぐためには、しっかりと対面で約束をしてその結果を書類に記しておくことが大切になります。
金銭トラブルを避ける
認知症の方とのトラブルで一番多いのは、金銭トラブルではないでしょうか。利用料金の支払いには口座振替か現金収集の二択です。最近は口座振替が主流となってきましたが、どちらも注意が必要なポイントがあります。
現金収集の場合は、利用者さんが領収書と請求書をしっかりと区別して、どの月の利用料金が支払い済みかをわかるような支援が大切になります。〝前も支払いしなかった?〟と疑問を持たれないよう支払い履歴がひとめでわかる月謝袋の活用もおすすめです。
一方の口座振り込みの対応にも注意が必要になります。利用者さんにとっては支払い金額を非常に気にされる方もおり、請求書や領収書の金額を見て取り乱してしまう方もいます。
こうしたケースの場合、サービス開始のタイミングでご家族を介してやり取りをしていると思います。大事な書類はご家族宛に郵送したり、共有のボックスに納めるなどの対応にょり、利用者さんを不安にさせることがないような配慮が必要です。
まとめ
認知機能の低下されている利用者さんと接する時は、
① 誤解を招くような行為や動作は避け、不安を抱かれないようにする
② 必要なことや大事なことは、対面でやり取りをしてしっかり書面に残す
③ 利用料金絡みの金銭トラブルを防ぐには、ご家族との話し合いで決めていく
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