福祉用具の潜在能力を引き出す方法

訪問リハのこと

福祉用具のチカラ、活用できていますか?

訪問リハビリを利用されている方の家には、福祉用具が導入されていることがほとんどです。入院中に使用していたもの、退院前家屋評価で担当の療法士が選定したもの、ケアマネジャーさんが提案したものなど、導入に至る経緯はさまざまです。

一方、せっかく福祉用具が導入されたにも関わらず、十分に役割を果たせていないケースも多く存在しています。

私が訪問リハビリで伺ったお宅のなかには、歩行器を〝タオル干し〟として活用している利用者さんがいたことは、今でも忘れられません。

そこで今回は、訪問リハビリでよく目にする福祉用具と活用方法についてまとめてみました。

電動ベットの当たり前を見直す

電動ベッドを利用されている方で意外と多いのが、高さや背もたれの調整を活用していないケースです。当たり前の用途ですが、立ち上がる時にベッドを高くすることで立ち上がり動作の負担や介助量は激減します。

病院では、リハビリ室のプラットホームで一生懸命反復練習をして再獲得する動作でも、電動ベッドひとつでいとも簡単に課題をクリアすることが出来てしまいます。

退院時、担当の療法士から電動ベッドの活用法を教えてもらっていればよいのですが、多くの患者さんが電動ベッドの活用法を知らないまま退院されています。

なかには節電のために電源を抜いているケースもあり〝ただのベッドでよいのでは?〟と思ってしまうほどです。訪問リハビリで介入したら、まずは電動ベッドの機能を活用できているかしっかり評価しておくことをお勧めします。

ちなみに、レンタル料金は種類によってまちまちですが、マットレスや介助バーをつけても数千円で利用することが可能です。

使わない歩行補助具はすぐに返却を

歩行器や歩行車なども手軽にレンタルをすことができる福祉用具のひとつで、利用者さんの導入率も比較的高いジャンルの商品だと思います。

歩行練習や屋内移動の際に利用されている方が多いとは思いますが、使用されることなく部屋の片隅に佇んでいる場面をよく目の当たりにします。

病院や施設で使用する時は気にならないのですが、歩行器や歩行車は意外と大きく、実際に家にあるとかなりの存在感です。加えて歩行車を使用していない場合は、生活上の動線を遮ってしまうこともあり、かえって邪魔になってしまうこともあります。

手すり感覚でしか使用していない歩行器や歩行車を見つけたら、返却することをお勧めします。頼るものがなくなることで、逆に歩行時の注意力が高まり、結果的に歩行の安定性向上に繋がるケースもめずらしくありません。

車椅子のレンタルで、備えあれば憂いなし

反対に日常的に使用していなくてもレンタルしておくべき福祉用具もあります。それが〝車椅子です。車椅子の活用方法は幅広く、一般的な人を運搬する際に使用する場面以外にも、屋内外の歩行補助具として押して歩くこともできます。

特に一番大事な役割が〝非難時の移動手段〟です。たとえば地震や火事が発生した場合、急いで家を飛び出さなければ逃げ遅れる可能性があります。そんな時、玄関や部屋の片隅に折り畳みの車椅子を常備しておくことで、いざという場面で大活躍してくれます。

また、急な体調不要、転倒などによる外傷から歩行が困難になってしまう場合など、受診をする際にも車椅子があると安心して出かけることができます。

定期的なメンテナンスは必要ですが、これらは全て福祉用具の業者さんがやってくれるので安心して利用することができます。

ちなみに車椅子の選定をする際、療法士に意見を求めることがありますが、よく分からなけばおとなしく福祉用具業者さんにお任せしちゃいましょう。車椅子の分野については勉強不足の療法士も多く、下手な助言はかえって利用者さんに不利益を与えることになりかねません。

まとめ

訪問リハビリで福祉用具の潜在能力を引き出すためには、

① 利用者さんの身体機能と生活動作が結びつくように配慮する

② 惰性でレンタルしている福祉用具は、潔く返却してみるとよいこともある

③ 折り畳み式車椅子を常備しておくことで、緊急時のリスク対策を考える

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