訪問リハビリで第一印象をよくする5つのポイント

訪問リハのこと

円滑な関係構築は第一印象で決まる

訪問リハビリの領域で仕事をすようになると、はじめに立ちはだかる壁が〝利用者さんからのクレーム〟ではないでしょうか。

病院で仕事をしている時には、入院患者さんからクレームをもらうことなど想像もしていなかったのですが、訪問に出てみると現実の厳しさを突きつけられます。

特に経験を積んでいる療法士ほど、訪問に出た時に利用者さんから〝NO〟を突きつけられてしまうケースを多く見てきました。

問題の根本はどこにあるのか、自分自身の立ち振る舞いに問題はないと思っていても、思わぬところに落とし穴があったりします。

そこで今回は、訪問リハビリに出る前に知っておきたい印象をよくするポイントについてまとめてみました。

接遇・マナーは基本中の基本

自分なりに気をつけているつもりでも、ついつい見落としながちなもののひとつが接遇やマナーです。利用者さんの家に上がる前に上着を脱ぐ、靴を揃える、座る位置は下座など、一般常識は大切です。

利用者さんに初めて会う場面はしっかりと目線の位置を合わせることも大切です。特に寝ている利用者さんには足元側からゆっくり近づき、声を掛けながら目線を合わせるようにします。

また、利用者さんとの会話中に出る〝相槌〟にも注意が必要です、こちらは口癖になっていてなかなか自覚しにくい部分になります。

〝はぁ?〟〝はい?〟〝うんうん〟〝だよ。だね。〟といった受け答えは、ふとした時に出てしまうことがあるので要注意です。

家の中をじろじろ見渡さない

初回の訪問時に、いろいろなところを評価しようと張り切りすぎていないでしょうか。

病院のリハビリのように毎日介入できる訳ではないので、限られた時間で情報を集めようとする意識は大切が、焦りは禁物です。

利用者さん目線でみれば、初対面の人に家の中をじろじろと見渡されるのは、あまり気分がよいものでありません。

特にトイレやお風呂場などのプライベートな空間を拝見する時は、事前にお願いをして次回の介入時に実施するようが無難です。

パーソナルスペースと同じように、関係性が築かれる前の段階であれば、自宅の中でも入られてよい空間とそうではない空間が存在しているようです。

家族のキャラクターを把握する

利用者さんとの関係構築に夢中になりすぎず、同居されているご家族、リハビリ場面に同伴されているご家族がいる場合は、そちらにもしっかりと気を配る必要があります。

私自身も何度か失敗をしたことがるのですが、利用者さんと私で楽しそうに会話をしている様子をよく思わないご家族からクレームと担当変更を希望されたことがあります。特に利用者さんと療法士が異性の場合にこうしたトラブルが起きやすい印象があります。

利用者さんと家族の関係性については、リハビリ介入時の様子からも判断することができると思います。

リハビリ場面に顔を出したり、介入前後で蜜にコミュニケーションを取ってくれる方もいれば、挨拶だけでリハビリの一切を療法士にお任せしてくれる方まで様々です。

利用者さんだけではなく、ご家族にとっての〝自宅〟であることを理解した立ち振る舞いが大切です。

住環境の整備はすぐに手を出さない

初回の訪問でベッドや手すりの位置、福祉用具の導入について必要性を感じることがあると思いますが、いきなり提案することは避けたほうが無難です。

理由はシンプルに、利用者さんとの間に信頼関係が構築されていない段階では、不信感を与えてしまう可能性があるからです。

利用者さんが入院している期間に、病院の療法士が退院前家屋調査を実施した後、提案された通りの住環境であった場合、初回で会ったばかりの療法士の言うことを信頼してもらえる可能性は低いと思います。

調整が必要な住環境上の課題については、二週間ほど在宅生活を送っていればいやでも露呈してきます。その時に改めて提案ほうがタイミング的には適していると思います。

また、福祉用具の導入にはお金はもちろん、搬入作業は業者さんや家族にとっても負担の多い作業になります。試しに導入した福祉用具を一週間で返品してしまう事態を避けるためにも、必要性、妥当性については慎重に見極めをしたほうがよいようです。

信頼関係は少しずつしか築けない

初回の訪問で、いきなり利用者さんに気に入られるケースというはあまり多くありません。反対に、初回の訪問で嫌われることのほうが簡単です。

訪問回数を重ね、顔を合わせる時間が増えることで相手に好感を持てるようになる〝単純接触効果〟という心理テクニックからもわかるように、信頼関係は少しずつしか築くことしかできません。

しっかりコツコツと積み上げられた信頼関係であれば、少しの失敗や粗相でも、利用者さんは寛容な態度で接してくれるはずです。

幅広い知識や素晴らしい治療スキルを持っていても、発揮する前に担当を外されてしまっては意味がありません。残念なことに、知識や技術に頼りがちな療法士に限って訪問リハビリでは失敗することが多いです。

どんな物事においてもやりすぎは禁物です。リハビリも同様に、スロースタートでも慎重な立ち振る舞いを心がけることが大切です。

まとめ

訪問リハビリで第一印象をよくするには、

① 接遇やマナーはもちろん、同居するご家族にも配慮した立ち振る舞いを

② 住環境に手を出すときは、ある程度の関係構築が出来てから行う

③ 何事もやりすぎは禁物。はじめの間は〝無難〟がベスト

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