訪問リハビリで受けるべき洗礼
新型コロナウイルスで若干手持ち無沙汰になっている昨今、訪問リハビリに初めて取り組んだ時のことを思い出しました。
訪問リハビリって、要は家でリハビリをやればいいんでしょ?という思いで訪問リハビリの現場に飛び込んだ私は、初回から痛い目に会いました。
新卒でリハビリ病院に就職をしてから一年、初めて在宅でのリハビリを経験することで準備不足や認識が甘さに後悔したことは今でも鮮明に覚えています。
そこで今回は、初めて訪問リハビリの現場で仕事をする時に気をつけておきたい5つの注意点についてまとめてみました。
来訪者としての立ち振る舞いを意識する
病院で仕事をしている間は、療法士はホームの立場で仕事をすることができます。療法士が働きやすい環境ということは、患者さんに多少の無礼があっても文句を言われることはほとんどありません。
リハビリの開始時間が遅れたり、リハビリ中に内戦電話で呼び出されたり、他のスタッフと雑談をしながらリハビリをしても、患者さんはなにも言いません。
一方で訪問リハビリで利用者さんのお宅に行くと立場は逆転します。アウェーの環境でリハビリをすることになります。
訪問時間の厳守はもちろん、靴の脱ぎ方、荷物の置き場所、言葉遣いに至るまで、一挙手一投足に気を配って立ち振る舞う必要があります。
環境が変われば立場も変わることを自覚した動きが求められます。
リハビリ感を出しすぎない
病院のリハビリは厳しくなりがちです。回復期に行うことも関係していますが、患者さんは早く退院したいため厳しいリハビリにも我慢して付き合ってくれるのです。
ただ、その調子で在宅でもきつめのリハビリを提供してしまうと、利用者さんからなかなか受け入れてもえません。
在宅という環境の主体は利用者さんにあります。きつめのリハビリを望む方もいますが、全員がそうとは限りません。
上から目線のリハビリ提案では続きません。セラピストと患者さんという関係性を感じさせることなく、寄り添う視点の関わり、和やかな雰囲気作りが大切になります。
報・連・相はこまめに
訪問リハビリをやってみると、報告・連絡・相談の重要性を改めて実感することができます。現場では利用者さんと一対一で仕事をしているため、状態の変化や気になったこと、提案したいことなどを自ら発信する必要があります。
家族、主治医、ステーションの看護師、ケアマネジャー、福祉用具業者など、在宅生活を支える人々との連絡は欠かすことができません。
特に利用者さんの体調や感じ取った違和感については、介入時に見逃してしまうと後で症状の悪化を招いてしまうこともあるため注意が必要です。
訪問リハビリでは、療法士自身の第六感、シックスセンスで感じ取ったことについては、適宜情報発信をすることがリスク管理に欠かせない要素と言われています。
リストラされる覚悟を持つ
病院でリハビリをしている時にはあまり経験のないことですが、訪問リハビリでは担当者の変更希望を言い渡されることが多々あります。
病院では早く退院をするため、患者さんは色々と我慢をしています。一方、在宅で生活をしている利用者さんは、担当者と相性が悪いと感じればすぐに担当変更をされてしまいます。
理由は様々ですが、技量不足、態度、感情の変化など、利用者本人以外にも、ご家族の移行が強く現れることもあります。
万人に好かれることはありえないので、こうした事態にもしっかりと向き合えるメンタルを備えておく必要があります。
ちなみに、あまりにも頻回に担当変更をされている方については、自覚できていない足りていない〝なにか〟があるんだと思います。
ゴールはあるが終わりはない
訪問リハビリでは、目標が達成されてもサービスが終了するとは限りません。ほとんどのケースが、利用者自身が終了を希望しない限りリハビリを続けることができるからです。
回復期など主にリハビリを目的としている病院では、介入経過に関わらず三ヶ月や六ヶ月など一定の期間を過ぎると、自動的に退院日が訪れそこでリハビリは終了してしまいます。もう少しやればまだ良くなる可能性があっても、期限をすぎればおしまいです。
訪問リハビリでも自ら利用期限を定め三ヶ月だけの短期間でサービスを利用される方もいますが、ほんの数例です。
多くの方は病状とは別に老いによる身体機能の低下とも向き合っているため、リハビリの介入をスパッと辞めるタイミングはなかなか見つけ出しにくいものです。
数年〜十数年単位での介入もあり得るので、長期的な介入も視野に入れた関わり方が大切になります。
まとめ
訪問リハビリを始める時の注意点は、
① 療法士の立場は病院とは違うことを自覚する。
② リハビリ間は出しすぎず、些細な変化には敏感になる。
③ 担当変更や長期間の介入に対応できるメンタルと応用力を。
コメント