この仕事に未来はあるのか

働き方について

年金だけでは生活していけない時代へ

最近のニュースでは、夫婦二人で95歳まで生活した場合、年金以外に2000万円の貯蓄がないと生活していけないという話題で賑わっています。

私自身も今年で30代の折り返しを迎えようとしていますが、この先年金だけでは生活できないことがわかっているのにも関わらず、未だに対策をしていないのが現状です。

将来、定年まで理学療法士・作業療法士の仕事を続けて退職金をもらい、老後の生活に備えようと思っている方も多いのではないでしょうか。

でもちょっと冷静に考えてみると、この先も今のような働き方で、なにひとつ不自由なく定年まで勤め上げることなど可能なのでしょうか。

そこで今回は、理学療法士・作業療法士として無事に定年を迎えるための働き方やリスクについて、少し考えてみることにしました。

セラピストが年々増え続けると価値が下がる?

理学療法士の国家試験を受験した人のうち、新卒者の人数を調査したデータでは、4年前までは9800人だったのに対して、現在では11000人を超えています。

しかも綺麗に右肩あがりで人数が増えているのです。それだけ養成校が増えており、その分国家試験を受ける人数も年々増えているということになります。

そのため、病院など数多くのセラピストが在籍する職場では、管理者が少なく若い人が多いという〝ピラミッド型〟の人員配置となっております。

つまり、安い労働力で仕事をしてくれるセラピストが増えれば増えるほど、市場におけるセラピストの価値は低くなり、基本給は少なく設定され、待遇も悪化していく可能性があります。

セラピストの技術料は〝プライスレス〟

経験年数を問わず、腕のよい料理人や美容師のもとには多くのお客さんがやってきます。他の店よりも高い金額を設定していてもそれ以上の価値があるからです。

一方、理学療法士や作業療法士の場合、どれほど勉強や経験を積んだ人でも、免許を取得したばかりの人がリハビリをしても料金は一緒です。

毎年協会費を支払い、定められた研修を受講して得られる認定療法士の資格を持ってしても、保険を介して請求をする際にはなんの評価もされないのが現状です。

だからといって勉強や技術の鍛錬が不要と言っているわけではなく、その頑張りを評価してくれる制度が存在していないことが問題だと思います。

腕があるなら起業した方が

セラピスト向けの研修会でお会いする講師の先生方の中には、病院やクリニックなどに所蔵せず、起業をしている方が多い印象を受けます。

理学療法士・作業療法士の仕事で保険請求するためには、それを行うための設備や人員の確保、保険請求に必要な書類の準備が必要になります。

また、この仕事は〝業務委託〟の形態を取ることができないため、個人事業主として個人のお客さんを相手にやっていくためには療法士を名乗ることができません。

それでも最近は〝全額自費〟で治療を行う企業や、個人で店舗を構えて施術するケースも多く見受けられるようになってきました。

私の知り合いは1時間で1万円を支払い〝筋膜リリース〟の治療を受けていますが、結果に対する対価として1万円は高くないと言っていました。

この業界はどうなっていくのか

若い人が増えると、安い値段で労働力を確保することができます。さらにベテランでも新人でも1時間に稼げる金額は一円も変わりません。

そうなってくると、病院としては高い人件費を支払ってまで経験年数のあるベテランを雇う必要がなくなります。

結果として、経験年数に応じて組織をまとめるリーダーシップ、後輩に伝える技術やノウハウがある人以外は、少しずつ居場所を失う時代が来るかも知れません。

定年まで真面目にコツコツ勤めていても、報われない時代が来ているように思います。

まとめ

セラピストが置かれている現状をまとめてみたところ、

⑴新卒者が増えるほど給料は上がりにくくなる。

⑵知識や技術の付加価値は、診療報酬とは無関係。

⑶ベテランになっちゃう前に、自分にしかできない役割を見つけておこう。

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