年をとってから後悔する住環境

気づいたこと

デザインよりも機能性が求められる世代

私が今まで訪問リハビリで伺った利用者さんの自宅には、立派な一軒家、40階以上のタワーマンション、スタイリッシュなデザイナーズ住宅など様々な家がありました。

なかには入り口がすべてガラス張りの玄関だったり、マンションの中を滝が流れていたり、ジムが併設されていたり、豪華な造りの家はとても印象に残っています。

私自身はまだ賃貸マンションで生活をしているため、様々な家を拝見させてもらうことでマイホーム購入の夢は膨らむばかりです。

ただ、利用者さんのなかには豪華な家が必ずしも生活しやすい家とは言えない事情もあるようです。

そこで今回は、利用者さんが生活をしていて不便だなぁと思っている家の構造について、実際に伺った話をもとにまとめてみました。

おしゃれな飛び石

立派な庭園がある一軒家のお宅には、まれに門から玄関までのアプローチに〝飛び石〟が設置されていることがあります。

おしゃれな料亭や旅館などに行くとよく目にする例のあれです。とてもよい雰囲気があり、若い頃にこだわりをもって作った〝飛び石〟も年を重ねると意外な面で弊害が現れてしまいます。

それは〝歩きにくい〟ことです。飛び石は足場が安定しないことに加え、雨が降ると表面がとても滑りやすくなってしまいます。

また、車椅子の使用が困難なこと、介護者を伴った歩行が行いにくいなど、安定性の高い歩行が行える方以外ではとても難易度の高い環境となってしまいます。

この家の利用者さん自身も、歩行能力の低下に伴いこうした現実に直面したそうです。工事費用も安くないため今のところ経過観察状態となっています。

玄関

玄関のスペースについては、元気でなにも不自由がない頃には大して気になりませんが、実際に生活動作に支障が出始める年齢になると不便さが目立ってきます。

上がり框に高さがあるだけでも玄関からの出入りが大きな負担となってしまうため、外出機会の減少、活動はhにの縮小に繋がってしまいます。

段差昇降機や踏み台を置けるスペースがあればよいのですが、ない場合はスロープを用いて車椅子で介助してもらう必要があります。

また、外階段を経て二階に玄関がある間取りでは、家を出入りする度に介助者におぶってもらう必要があるため、ますます外出機会が減ってしまいます。

こうした事例をみると、玄関に関しては上がり框を低く、少し広めのスペースを設けておいたほうが老後の心配は少なく暮らすことができます。

お風呂の場所

最近の一戸建てに多く見られるケースですが、三階での住宅で二階に水回りを集約させているお宅に訪問する機会が増えています。

一階に寝室、二階にトイレ、お風呂、洗面所、キッチン、洗濯置き場などすべての水回りを集約させ、三階には客室や趣味の部屋があったりします。

このような住環境で課題となるのが〝入浴が面倒〟になってしまうことです。

足腰が弱く階段昇降が大変な利用者さんにとっては、二階まで階段を登ってお風呂に行くことが次第に大変になってしまい、訪問入浴サービスへと切り替える方もいました。

その方はいつも口癖のように〝家を建てるなら風呂は一階にしておけ〟とぼやいていました。

こうした住宅に限らず、例えば二世帯住宅でお風呂だけ共有しているケースなどでは、自宅内にある階段が活動範囲を狭小化させてしまうことが予想されます。

まとめ

年をとってから後悔する住環境については、

⑴玄関までのアプローチは滑らず広々と歩ける環境を。

⑵玄関の出入りが活動範囲の広がりに大きな影響を与えている。

⑶お風呂と寝室は同じ階にあったほうが安心して生活できる。

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