利用者さんの大事な移動手段
訪問リハビリで伺う利用者さんのなかには、福祉用具として電動車椅子を利用している方が一定の割合でいらっしゃいます。
電動車椅子を使用していても歩くことができない訳ではなく、むしろある程度の歩行ができるからこそ電動車椅子を有効に活用できることもあります。
活用事例としては、目的地までの移動手段として電動車椅子を使用して、そこから先は杖歩行での移動に切り替えるという使い方が有効です。
あくまで電動車椅子は〝移動手段〟のため、長時間の座位保持には適していません。目的地に到着したら椅子に座り替えたほうがよいこともあります。
そこで今回は、電動車椅子を導入する時にセラピストとして注意しておきたいポイントについてまとめてみました。
電動車椅子の管理
電動車椅子を導入する際にはじめに確認をしていく事項は〝電動車椅子の管理〟についてです。これは独居でも同居するご家族がいても必要なポイントです。
電動車椅子は他の車椅子に比べてサイズや重量が大きいものがほとんです。そのため、折りたたみはできても保管場所が確保できるか確認しておく必要があります。
また、独居の方の場合ではひとりで電動車椅子のバッテリーを着け外しすることが可能か、家の中から道路に出る動線を確保することができるかを把握しておく必要があります。
また、同居しているご家族がいる場合でも同様に、電動車椅子の管理や取り扱いが介護負担の増大に繋がるようなケースでは慎重に検討したほうがよいと思います。
認知機能の評価
ひとりで外出をする目的で電動車椅子の導入を検討している場合には〝認知機能の評価〟もしっかりと実施しておく必要があります。
電動車椅子の電源や操作レバーの取り扱いはもとより、出先から自分の家に帰って来られなくなってしまっては大変です。
電動車椅子を使用すればバッテリーが持つ限りどこまででも移動することができてしまうため、自分の家の場所や住所を把握できる程度の認知機能が必要になってきます。
遂行機能の評価
これは認知機能の評価にも関係している分は大きいと思いますが、自宅から目的地に到着するまでの手段をしっかりと把握できる能力が必要となります。
遂行機能とは〝目標に向かって目の前の課題を解決する能力〟のことを指します。出先で困った時に対処することができる能力です。
電動車椅子で電車に乗る際に駅員さんに支援の依頼をすることができるか、エレベーターの場所を人に尋ねることができるか、事故や事件に巻き込まれた時に適切な連絡先に電話をすることができるかなどが挙げられます。
電動車椅子保険の必要性
活動範囲が広がる分だけリスクに備えることも必要です。そんな時のために電動車椅子の盗難、交通事故、お店の品物を壊してしまった場合などに備えて加入することができる保険があります。
補償内容によって保険料は異なりますが、賠償責任が生じた際の代理交渉サービスなども選べるようになっており、自動車保険と同じクオリティのサービス内容となっております。
電動車椅子の販売会社が取り扱っている場合もあり、保険料は1年間で10,000円程度で加入することができます。
私が以前訪問リハビリに伺っていた利用者さんは、電動車椅子でスーパーに買い物へ行った際に操作を誤ってお客さんに怪我をさせてしまったそうです。
その時はご家族に連絡をしてその後の対応をお願いしたそうですが、こうした事故に備えて保険に加入しておけばよかったと後悔されていました。
まとめ
電動車椅子を導入する際の注意点は、
⑴電動車椅子を管理することができる環境があるか評価する。
⑵利用者さんが安全に使用するために必要な能力を評価する。
⑶万が一に備えて保険加入の必要性を評価する。
コメント