新卒で訪問リハビリに挑む際の注意点

気づいたこと

初めは病院がよいと思うワケ

私が訪問看護ステーションに転職をするまえは4年間リハビリ病院に勤務をしていました。4年間もリハビリ病院に勤務をしていた理由は〝基礎〟をしっかりと学ぶためです。

お世話になった実習先が午前に訪問リハビリ、午後に院内のリハビリというスケジュールだったこともあり、学生時代に訪問リハビリの大変さを知ることができました。

一方、私と同期で就職をした理学療法士の友人は一度も院内業務を経験することなくいきなり訪問リハビリ部門に配置されることが決まりました。

3年後に院内業務に配置転換された同僚は、病院で行うリハビリに今まで訪問で培ってきた経験を活かす事ができずとても苦労をしていました。

そこで今回は、同僚のケースを踏まえて〝いきなり訪問リハビリ〟では経験することが難しい部分についてまとめてみました。

介入機会の問題

訪問リハビリで担当させて頂く利用者さんの多くは、回復期を病院で過ごされてきた方がほとんどです。維持期に介入する訪問リハビリでは〝一番変化がある時期〟には携わる機会が少ないことになります。

さらに病院では毎日リハビリを実施できる機会があるのに対して、訪問リハビリは多くても一週間に2〜3回しかありません。

訪問リハビリでは利用者さんへの介入と経過を結びつける際の情報が少なすぎるという点で新卒のセラピストには荷が重いかも知れません。

新人研修制度の問題

新卒で病院に就職をした場合、指導役を担う上司が面倒を見てくれます。そこでは治療場面に立ち会ってもらい指導してもらったり、上司のリハビリ場面を見学させてもらう機会が多く設けられています。

一方の訪問リハビリでも新人研修や相談役を設ける制度はあるものの、一緒にリハビリ場面を共有することが非常に難しくなってしまいます。

はじめのうちは上司の訪問に同行できていても、次第に自分のスケジュールが埋まっていくと時間を調整することが難しくなってしまいます。

また、訪問リハビリで〝症例検討会〟を行なうこともありますが病院ほど有意義な話し合いをすることは難しいように思います。

会ったことのない利用者さんについて出来る助言にはある程度の限りがありますし、症例を紹介する側にも状況を上手く伝えるための技術が必要になります。

こうした経験も病院で自分のハビリ場面を周囲のスタッフが共有、フィードバックをしていくことで少しずつ身についていくことだと思います。

他職種連携の問題

病院では、医師や看護師、薬剤師やソーシャルワーカーさんたちがひとつのチームを作りカンファレンスを通じて方針を共有していく過程を経験できます。

一方の訪問リハビリでは、担当者会議という話し合いの場は不定期で設けられていますが、それぞれがどんな風に仕事をしているかまではなかなか見えてきません。

日頃から病院で働く場面を見ておくと、看護師さんが行う処置の内容だったり、薬剤師さんの知られざる仕事内容を拝見できたりと色々な一面を垣間見ることができます。

この経験は、在宅で利用者さんのサポートを行う際にとても大きな役割を担ってきます。職場も仕事内容も異なる人たちが集まるわけです。

連携や情報共有に必要なスキルも、病院で勤務をしていたほうが培われるのではないでしょうか。

現在でもセラピストの求人問い合わせは数が多く、その中には卒業予定の学生さんからの連絡も入ってきます。そんな心配をするくらいなら、自信を持って新卒者と共に働くことができる環境づぐりが急務なのかも知れません

まとめ

訪問リハビリを新卒者が担う場合、

⑴維持期で介入機会が少ない環境では経過が追いづらい。

⑵研修制度はあってもそこまで細かく指導してもらえない。

⑶他の職種がどんな仕事をしているか直接見ることができない。

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