福祉用具を選定する時に気をつけていること

訪問リハのこと

福祉用具導入の流れ

訪問リハビリの分野で仕事をするようになると、切っても切り離せないのが〝福祉用具の選定〟ではないでしょうか。一般的に訪問リハビリを利用されている方に福祉用具の導入を検討する場合、まずは本人とご家族の意向をしっかりと確認します。その後は担当のケアマネジャーさんに連絡をしたのち、福祉用具業の方を交えて担当者会議を開催することで契約・導入に至ります。

ちなみに、利用者さんやご家族の意向をしっかりと確認せずに導入を決めてしまうと、導入後に福祉用が物置になってしまう可能性もあるため、慎重に進める必要があります。私の利用者さんも、前任のセラピストが選定してくれたピックアップ型歩行器が、見事に洋服掛けにジョブチェンジしていた場面に出くわしたこともありました。

本当に必要な福祉用具か

福祉用具の導入に際して、まず初めに気をつけていることは、〝本当に必要なものか〟という点です。院内でリハビリをしている時に使用していた福祉用具だからという理由で、自宅にサークル型の歩行車を導入してみたのはいいものの、自宅では小さな段差が多くて使いづらかったというケースも多くあります。

また、導入してみたものの意外と使われていないのが〝昇降座椅子〟と〝車椅子〟です。昇降座椅子とは電動で座椅子が上下に移動する機能がついており、立ち上がり動作を補助する役割を担っているのですが、多くの方が電源をコンセントに挿さずに普通の座椅子として利用しています。

車椅子については、外出時にシルバーカーのように押して歩き、疲れたら座るという使用目的で導入されたケースに多く、歩けているのでわざわざ車椅子を持ち運ぶ必要性を感じなくなり、次第に玄関のスペースを占領するだけの置物になってしまいます。

福祉用具にはお試し期間がある

福祉用具を導入する場合、一週間ほどお試しで使用することができます。本当に使用する必要があるのか、また使いこなすことができるのかを検討できる貴重な期間です。毎月レンタル料金を支払って使用するわけですから、福祉用具の導入に二の足を踏んでいる利用者さんには、この〝お試し期間〟を活用してみるようお伝えしています。

ちなみに、福祉用具の中には〝購入〟する形でしか使用できないものがあります。それはトイレや入浴など、直接人体に触れて使用する福祉用具です。こうしたものは基本的にお試しで使用することはできませんが、福祉用具業者さんの会社に〝デモ用品〟があれば借りて試すことも可能です。ダメ元で一度確認してみても損はないと思います。

見た目やデザインも疎かにできない

福祉用具の中には、使用方法や機能面には大きな差はないものの、見た目やデザインで差別化を図っているものも存在します。これは利用者さん自身の好みの問題になるのですが、それも踏まえて選定作業を進めていく必要があります。そのため、私は福祉用具業者さんにお会いする際、商品カタログを貰うようにしています。こうすることで、いくつかの候補から利用者さんが気に入ったメーカーの品を選ぶことができます。

ポータブルトイレやベッドなど家の中で使用するものにはそこまで見た目にこだわる方は多くありませんが、屋外で使用する杖や歩行車に関しては注意が必要です。私もある利用者さんが屋外用の歩行車を導入したいという申し出があった際、自分が選定した歩行車の〝絵柄〟が気に入らないという理由で導入をキャンセルされたこともありました。

まとめ

福祉用具の選定と導入

⑴本当に必要な福祉用具なのか検討する

⑵一週間のお試し期間を有効活用して納得したものを導入する

⑶利用者さんの好みを把握して見た目も気に入ったものを導入する

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