リハビリ業界の賃金事情とこれから

働き方について

新年度のお楽しみ

私が勤務している訪問看護ステーションでは、勤続年数が増えるごとに〝昇級〟をするという条件で労働契約を結んでいます。

訪問看護ステーションの場合は随時スタッフを募集していますが、病院などは中途採用でも新卒者ともに4月に足並みを揃えて一斉入社するところが多いのではないでしょうか。

私も病院勤務をしていたころは、5月に支給される給与明細(4月に働いた分)を見て、基本給がどれだけ上がっているのか楽しみにしていたことを思い出します。

ところで、みなさんが勤務している職場の〝昇給制度〟はどのようになっているのでしょうか。また、その金額は平均に比べて多いのか少ないのか気にしたことはあるでしょうか。

そこで今回は、私の勤務先の昇給制度は優遇されているのかを調べてみることにしました。

昇給とベースアップ

昇給とは、正式は〝定期昇給〟という言い方をするようです。労働者の年齢や勤続年数が上がるごとに賃金を上げていく制度のことを言います。

ニュースでたまに見るベースアップ(ベア)とは少し異なるようです。ベースアップとは、景気の変動に応じて賃金を一律に増加させる〝臨時昇給〟のことを言います。

景気が良ければ上がっていきますが、景気が悪く物価も下がっている時には見送られることもあります。景気の影響を受けにくいこの業界ではあまり縁がない話だとは思いますが。

昇給率と昇給金額の計算方法

例えば基本給が250,000円だったのが260,000円に上がった場合の昇給額は10,000円です。

昇給金額については、新年度の給与明細を見ればすぐにわかると思います。基本給の金額がどれくらい増えているかを見比べれば大丈夫です。

260,000円−250,000円=10,000円で昇給額は10,000円となります。

次に昇給率の計算方法ですが、これは昇給した金額を昇給前の基本給で割れば求めることが出来ます。

際ほどの例をもとに計算すると、10,000円/250,000円=0,04で昇給率は4パーセントになります。

ちなみにこれは私が初めて勤務をした病院で2年目で昇給した時の給与明細を元に計算してみました。

昇給額の平均値はどれくらい?

自分の昇給金額と昇給率が判明すると、今度は全国平均がどのようになっているか気になります。

自分が勤務していた病院は恵まれていたのかどうか、もう少し深掘りしてみることにしました。平成30年度の月例賃金の引き上げ率は2,3パーセント、引き上げ額は7,104円というデータがあります。

これを踏まえると、昇給率については2パーセント台、昇給金額については7,000円台であれば勤務先の昇給制度は平均的といえるのではないでしょうか。

比較してみると、私が勤務していた病院は意外とよい条件を提示してくれていたことがわりました。

昇給できるかは勤務先の条件次第

私の知り合いが勤務をしている病院では、〝年功序列で昇給するのは35歳まで〟という規定が存在しており、そこから先は昇給試験を受ける必要があるようです。そのため、35歳を迎える前に多くのセラピストが退職していくそうです。

また、別の知り合いが勤務する病院では、新卒でも〝昇給試験〟を受ける以外に基本給が上がることはないそうです。

試験内容は架空の事例を提示され、必要な評価や治療プログラム、手技を行い合否の判定を上司が行うというものでした。実力主義という観点ではとてもやりがいのある職場環境だと思います。

いつまでも安泰ではいられない

理学療法士や作業療法士の資格で仕事をするリハビリ業界には、ひとつの課題があると思います。それは〝経験を重ねても診療報酬は変わらない〟という点です。

何十年と時間を掛けて腕を磨いたセラピストも、免許を取り立てのセラピストも1時間のリハビリで貰える金額は同じです。

腕のよい人は引く手数多で独立の道もあるかとは思いますが、ただボーっと過ごしてきた人は、雇い主からすると基本給が高いだけの金食い虫と思われているかも知れません。

1日に治療できる人数も診療報酬も同じであれば、人件費の安い新人が有利であることは変えようのない事実です。

40代50代になって路頭に迷ってしまうことがないよう、自分の身の振り方や持つべきスキルは今のうちから準備をしていたほうがよいようです。

まとめ

リハビリ業界の賃金事情とこれからについては

⑴昇給率や昇給金額を自分で計算してみる。

⑵年功序列で昇給できる時代は終わりつつある。

⑶歳をとるほど稼ぎが少なくなる人材であることを心得る。

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