病院から出てみてわかったこと
私は4年間病院で勤務をしたのち訪問看護ステーションに転職をしたのですが、そこで仕事をするようになって初めて〝リハビリの依頼はどのようにして決まるのか〟ということを意識するようになりました。
病院で仕事をしていた時は、私が何もしていなくても利用者さんが入院をしてきて、依頼をしなくてもリハビリの処方箋が出されて、退院までの期間リハビリを実施していました。
しかし、訪問リハビリ(訪問看護ステーション)ではそこまでスムーズに事は運びませんでした。利用者さんのリハビリが実施できるまでの道のりは、実際に働いてみることでその大変さを知ることができました。
ケアマネジャーに出会うまで安心はできない
訪問看護ステーションを新規で立ち上げた場合、事務所の椅子に座ってでじっと待っていても恐らくどこからも依頼の電話は掛かってくることはありません。
訪問看護ステーションが立ち上げられたことを、周囲の地域包括支援センターや居宅介護支援事業所にいるケアマネジャーさんに宣伝する必要があります。
チラシやパンフレットなどを作成して、新しい訪問看護ステーションができたことを知ってもらうのです。
このように訪問看護や訪問リハビリの利用者さんがどこの事業所でサービスを受けるかは、ケアマネジャーの裁量で決まるといっても過言ではありません。
居宅介護支援事業所も訪問看護ステーションも利用者さん自身に選ぶ権利がありますが、事業所の特色などそこまで周知されていないことも多く、基本的にケアマネジャーさんが依頼した事業所に決まることがほとんどのようです。
そのため訪問看護ステーションのスタッフは、地域に点在するケアマネジャーの事業所を巡り、安定して利用者さんを紹介してもらえる関係性を構築する必要があり、日々コツコツと営業活動をしていくことも仕事に含まれます。
依頼が来てもまだ安心はできない
ようやくケアマネジャーさんから利用者さんを紹介してもらえても、まだ安心することはできません。今度は病院と同じように主治医の指示がなければサービスを利用することができないからです。
病院で行うリハビリの場合は、病院に勤務している医者がいるので問題ありません。
いっぽう訪問リハビリのバイアは、事業所と病院にはなんの利害関係も生じないため、医者が指示書を書かないと決めればサービスは開始できなくなってしまいます。
このようなケースでは、訪問看護や訪問リハビリの必要性を感じてくれる他の医者のところを受診して、改めて指示書を書いてもらう必要があるのです。
指示書が来てもまだまだ安心はできない
医者からの指示書が貰えてもまだ安心をすることができません。利用者さん自身がサービスを拒否しているケースが存在するからです。
ケアマネジャーと家族で勝手にサービスの利用を決めてしまったり、家でリハビリをすることが退院の条件だった利用者さんの気が変わってリハビリを拒否してみたり、ようやく開始かと思えばすぐにサービスが終了してしまうケースも存在します。
このように、病院から一歩踏み出すだけでリハビリを必要とする利用者さんと出会うだけでも多くのステップが必要になります。
その分、利用者さんとの時間がよりいっそう大切に思えるようになったことも訪問リハビリを経験できたからなのかもしれません。
まとめ
訪問リハビリが始まるまでに通る道のりは
⑴まずはケアマネジャーさんに知ってもらうことから始まる
⑵依頼が貰えたら主治医に指示書を書いてもらう必要がある。
⑶最後は利用者さんが納得して利用してもらえるかどうかだけ。
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