住環境の調整は福祉用具や住宅改修だけではない

気づいたこと

福祉用具に頼らない生活

私が在宅という分野で仕事をするうえで大切だと思っていることのひとうに〝環境を調整する〟という視点を意識して仕事に取り組んでいます。

環境というのは大きく分けて〝物的な環境〟〝人的な環境〝社会的な環境〟の三つに分類され、それぞれの視点から環境調整に取り組んでいく利用者さんが自宅で生活をしていくために欠かせない考え方です。

実際に訪問リハビリに出てみると、利用者さんの環境調整に取り組む機会も多くその経験の積み重ねがとても大切になっていきます。

今回は、私が訪問させて頂いた利用者さんの中で、自ら考案した方法で住みやすい生活環境を構築されてた利用者さんをご紹介します。

杖や歩行器より便利な歩行補助具

環境調整を考える上で一番イメージしやすいものが歩行を支援する福祉用具の導入ではないでしょうか。福祉用具の導入から住宅改修に始まり、ベッドの配置や動線の検討、生活場所を二階から一階に移動させるなど、安定して歩行を行うための環境調整は色々と思いつきます。

そんな中、私の同僚が訪問している利用者さんは屋外歩行の際に杖や歩行器を導入せずにあるものを使用していました。それが〝自転車〟です。

一見その形態からバランスの取りにくさや操作性の低さが不安視していまいたが、実際に使用している場面をみるとその扶南も一蹴されたそうです。

病前から自転車を押して買い物に出かけていた習慣があり、高い位置にあるハンドルや重い荷物の持ち運びができるというメリットは、実施に使用している人でなければ気づかないかもしれません。

普通であれば危険性を考慮して歩行車の導入を勧めてしまいがちですが、使用されている本人の意向や使用場面を踏まえると、こういう形で利用するのもよいのではないかと思います。

室内を安全に移動するために優れているもの

ある利用者さんのお宅に初めて訪問してみると、自宅内で安全に歩くために〝背もたれ付きの椅子〟を使用されていました。

とても大きな家に住まれていた利用者さんだったため、広いリビングがあるご自宅で伝い歩きできる範囲も限られてしまったそうです。そこで思いついたのがダイニングテーブルの椅子を押しながら移動するという方法でした。

こちらも背もたれを持ちながら押すことができるため、腰部への負担が少ない点と座面にお盆を乗せて物を運ぶことができるというメリットがあり、歩行器のレンタルには至りませんでした。

玄関まで続く飛び石を避けるために

一軒家に住まわれているお宅で、玄関前に飛び石が設置されている環境が玄関までの移動を妨げる原因となってしまった利用者さんがいました。ちなみに飛び石というのは日本庭園などで用いられる足場を確保するために飛び飛びに配置された石のことを言います。

こちらのご自宅では歩行時に足場となる飛び石の面積が狭く、また雨天時には滑りやすいという環境が原因で玄関までたどり着けないことが発覚しました。飛び石の処分と整地の工事をすると何十万と費用が発生するため、ある方法を思いついたようです。

それは、玄関は封鎖して縁側から出入りをするというものでした。独居だったこともあり、他の家族が不便さを感じる心配はなく、縁側からは低めの椅子と手すりを使用して立ち上がることも可能だったため、このような動線を確保することにしたようでした。

まとめ

利用者さんにあった生活しやすい環境作りとは

⑴便利なものより利用者さんの生活に馴染むものがよい。

⑵お金を掛ける前に家にあるものや環境の活用を試みる。

⑶動線を変えるだけで大掛かりな工事が不要になることもある。

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