訪問看護ステーションにおける不正請求問題を受け、国は2026年1月~2月に掛けて、全国一斉に不正調査を実施することが話題になっています。
厚生労働省が初めて訪問看護の全国一斉調査実施へ
今回実施される全国一斉の調査は、8つの地方厚生局・支局が2026年1月~2月にかけて実施しています。47都道府県で少なくとも1カ所ずつ調査に入る予定となっており、厚労省本省と厚生局、都道府県による合同調査も数カ所で行われています。
今回全国一斉調査の対処となった施設
今回の一斉調査では、過剰な診療報酬請求を行っている施設、訪問看護の囲い込みが疑われる事業者が対象となっています。
- ホスピス型住宅(住宅型有料老人ホームなど)
- 精神科の訪問看護ステーション
上記の施設を対象に47都道府県で少なくとも一か所ずつ調査に入る予定おとなっています。
全国一斉調査に至った背景
利益を上げる目的で過剰に訪問回数を増やしたり、虚偽の記録で公的な報酬を請求する事業者が問題となっていました。こうした現実を目の当たりにした看護師の内部告発によって、手口の詳細も明らかになっています。
不正の手口例
- 原則30分間は訪問に対して、数秒~数分の訪問でも30分の実績として報酬を請求する。
- 必要ない利用者に〝1日3回〟〝複数人での訪問〟〝早朝・夜間・深夜の訪問〟を設定し実績を上げる。
- 複数人での訪問と偽ったり、早朝・夜間に行ったという虚偽の記録を作成して加算報酬を請求する。
思わぬ弊害も出ている
不正・過剰に報酬を得ているホスピス型住宅や精神科の訪問看護ステーションが増えることで、看護師不足の一因を担っている可能性があるともいわれています。
不正請求によって過剰な報酬を得ている施設では、好条件(高い給料・土日祝休み等)で看護師の求人を行うため、健全な経営を行っている病院や施設は看護師不足に陥ってしまい、医療や介護全体の態勢に負の影響を与えていると指摘されています。
調査で不正を指摘されてしまったら・・・
厚生労働省は、今回の全国一斉調査により不適切な事業実態が確認された事業者には、報酬の返還を指導するとともに、調査のより不正が裏付けられた場合には、行政処分も検討されることとなっています。
意見が分かれる事前告知の賛否
医療機関などに対する地方厚生局の調査では、約1カ月前に監査に入る旨を告知することになっています。ということは、2026年2月時点で通告がなければ、今回の一斉調査の対象外となります。
一方で、今回実施される全国一斉調査では、訪問看護記録など文書の調査が中心となっています。事前告知のうえで行われる調査の場合、調査対象が正直に書類を提出するという性善説で成り立っています。そのため、調査に備えて既に書類を改ざんし、つじつまを合わせている事業所も存在しているようです。
監査が入る前は書類整理で残業を余儀なくされたり、監査対策のコンサル業者があることからもこうした事前告知の在り方を疑問視する声も増えているようです。
まとめ
2026年1月~2月に掛けて実施される訪問看護ステーションの全国一斉調査では、
1、不正・過剰な請求を行っている施設、事業所が対象となっている。
2、ホスピス型住宅(住宅型有料老人ホーム)や精神科の訪問看護ステーションが対象となっている。
3、不正が確認された場合、報酬返還の指導、行政処分が行われる可能性がある。

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