2024年の介護保険改定に伴って新設された〝口腔連携強化加算〟ですが、施行されてはいるものの、勤務先のステーションによって取り組み姿勢が異なる加算のひとつではないでしょうか。この加算についてのメリットや取得手順を解説したリーフレット(日本老年歯科医学会編)が、厚生労働省から示さています。
口腔連携強化加算とは
口腔連携強化加算は、在宅で暮らす高齢者の口腔状態をきめ細かく把握し、それを歯科専門職による適切な口腔管理に繋げることが目的となっています。
算定要件は担当者が利用者の口腔状態を評価し、その情報を歯科医療機関やケアマネジャーに提供すること。
加算は利用者1人につき1ヵ月で50単位。訪問看護をはじめ、訪問リハや訪問介護、ショートステイ、定期巡回・随時対応サービスなどの事業所で算定することができる加算です。
簡易版のリーフレットはこんな感じです。
評価シートを使って情報提供を
評価した情報は、利用者のかかりつけ歯科医師や担当のケアマネジャーに提供することが必要です。評価および情報提供に際しては、厚生労働省が示すシートを活用します。
今まで口腔衛生や栄養の改善に向けた報酬上の評価(加算)はありませんでした。2024年の介護保険改定に伴い、口腔連携強化加算が設けられることになりました。
その背景には、昨今の介護保険制度において口腔・栄養に関して現場の取組み強化を促したいという国の意向があるようです。
訪問看護スタッフの口腔ケアスキル向上がねらい
施設系の現場では、〝歯科医師や歯科衛生士〟の指導・助言を定期的に受けるという要件が運営基準に組み込まれました。なお、特定施設は令和9年3月末までの経過措置が設けられています。こうした口腔ケアスキルの向上に向けた取り組みを訪問系サービスにも位置づけたことになります。
歯科医師・歯科衛生士からの助言を受けた場合、現場で携わる看護師や療法士が訪問先の利用者に伝えることで、利用者の口腔ケアに対する自発的な意識の向上を促すことができます。
歯科診療を推奨された利用者は必ず受診しなければいけないのか?
提供された情報をもとに、ケアマネジャーと歯科医療機関で歯科診療が必要であると判断された場合でも、本人や家族は必ず従わなければいけないのでしょうか。
この場合の判断はあくまで〝受診を推奨する〟にとどまり、実際に歯科受診を行うかどうかは利用者や家族の意向が尊重されることになります。
そのため、実際に受診の声かけを行なっても、直接命に関わる病気や歯の痛みがない状態では、多くのケースで歯科受診を見送ることが予想されます。
最終的に受診の声掛けを行うのは、担当のケアマネジャーが担うことが予想されます。加算を取れる訪問看護やヘルパー事業者をよそに、ケアマネジャーはさらなる業務負担の増加に繋がりかねません。
まとめ
2024年の介護保険改定で口腔連携強化加算が新設されたけど
1、国がリーフレットを作成するほど注力している加算だった。
2、歯科受診の必要性はあくまで〝推奨〟するだけでなんの強制力はない。
3、加算をもらう事業所は良いが、受診の声掛けを担うケアマネジャーは業務が増えて大変になりそう。
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