訪問看護では、医療保険・保険を利用してサービスを提供しています。1割負担の利用者の場合、9割は介護保険から支払いされ、残りの1割を現金や引き落としで頂戴しています。そんな折、精神科訪問看護ステーションで不正や過剰請求をしていたのではないかという話題がニュースになっています。
精神科訪問看護で行える不正・過剰請求の方法とは
訪問看護ステーションの末端で働いてる私にとってはあまり縁のない話ですが、経営者の視点でみると利益を出すために必要な取り組みは出来る限りやっていこうという思いを持つ方が多いのではないでしょうか。
実際に訪問看護ステーションで不正に利益を上げようと思うと、訪問時間を実際よりも増やして請求する・訪問サービスを過剰に提供することぐりしか思い浮かびません。
また、リハビリは指示書に回数や時間が細かく明記されているため、医師と結託しない限り過剰なサービスの提供をすることは難しい気がします。
では、今回ニュースになった精神科訪問看護ステーションでは、どのようなやり方をしていたのでしょうか。
利用者の症状・必要性に関係なく訪問回数を増やす
現在の制度では、精神科における訪問看護の場合、一週間に3回までが上限と定められています。訪問サービスの利用頻度については、利用者の症状などに応じて看護師が判断してます。
ただ、その回数が適切かどうかチェックする仕組みが存在していないのが現状です。そのため、過剰に回数を増やすことで診療報酬をより多く得ることできてしまう構造になっています。
利用時間を35分で切り上げる
訪問看護の時間区分は原則30分以上となっています。30分の滞在時間でも50分の滞在時間でも得られる診療報酬は同じです。
今回ニュースになった事業所では、滞在時間を31~35分にとどめるよう指示が出されていたとされています。そのため、担当看護師が必要に応じた滞在時間で介入していると35分を大幅に超えるいる状況では注意されてしまうという体制だったようです。こちらも診療報酬をより多く得るためとみられています。
医師に自社の施設利用者に対して精神疾患の診断を依頼する
精神疾患の診断依頼は、身体疾患や認知症だけでは精神科の訪問看護を利用することができません。そのため、訪問件数を増やすことを目的に、付き合いのある医師に精神科の病名を付けてもらったり、訪問看護をもっと受け入れるようホーム側に指示を出していたようです。
訪問に必要な人員を減らす
訪問看護ステーションでは、医師の指示書に基づいて訪問看護を行うことになっています。その指示の内容によっては危険な行為をする可能性がある利用者に対する指示書には〝複数名訪問の必要あり〟と指示を記載することがあります。
その場合は複数の看護師が訪問できるようになりますが、今回ニュースになった事業所では〝一人で訪問するのが当たり前〟という風潮だったようです。
複数名で訪問した場合は診療報酬が高くなるため、はじめは必要なくても複数名での訪問を指示していたようですが、次第にひとりで訪問したほうがより効率的に稼働できることから上記の対応となったようです。
まとめ
精神科の訪問看護ステーションにおける不正・過剰請求のニュースをみてみると
1、制度を逆手にとり、抜け穴を上手く利用すれば行うことができる。
2、時間や人員を削減することで効率化を図るためサービスの質は低下する。
3、今後、訪問看護サービスにますます厳しい目が向けられることになる。
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