最近〝カスタマーハラスメント〟に関するニュースが増えています。訪問看護ステーション等の在宅医療・介護の現場で生じたハラスメントとその対応について福岡県の取り組みが取り上げられていたので、具体的な対策を交えてご紹介します。
〝ケア〟なのか〝ハラスメント〟なのか
福岡県が2023年に実施した調査結果によると、在宅医療・介護に従事する人のおよそ4割が利用者や家族などからハラスメント行為を受けたことがあると回答しています。また。このうち4割の人がハラスメントが原因で休職や退職をしている現状があります。
訪問看護におけるハラスメントは大きく分けて3種類
身体的ハラスメント
・コップを投げつける ・たたく ・つねる ・蹴る ・ひっかく ・唾を吐く
精神的ハラスメント
・大声を発する ・怒鳴る ・理不尽な要求をする ・特定の職員に嫌がらせをする
セクシャルハラスメント
・必要もなく手や腕を触る ・抱きしめる ・ヌード写真やアダルトビデオをみせる
訪問するとテーブルに包丁が・・・
ライフ訪問看護リハビリステーション・村中剛士代表 のインタビュー
「スタッフの言葉遣いが悪いことを理由に、恫喝めいた感じで連れてこいと言われ、私が話を聞きに行ったのですが、強い口調でどこにケンカ売っているんだと1時間半から2時間くらい。」
8人の看護師と4人のリハビリスタッフが在籍しているこちらの訪問看護ステーションでは、開業から8年たちますが、“カスハラ”被害は後を絶たないといいます。
利用者の自宅を訪ねた時に、テーブルに包丁が並べられていたこともあったといいます。
福岡県の対応は
福岡県の服部知事は〝暴力、ハラスメントを受けて辞めざるを得ないという事態に追い込まれる。これは極めて深刻な問題。そういうことがない職場環境を業者、現場任せにするのではなく、行政として警察とも連携をとりながら、しっかりと従事者を守っていくことが必要〟とコメントしています。
この状況を受け、福岡県は在宅医療や介護の従事者を対象にした〝カスハラ相談センター〟を開設しました。
また、警察のOBが常駐し、緊急性が高いもの・悪質なケースについては警察に情報提供を行い、解決に繋げる取り組みを行っています。 福岡県は「匿名での相談も可能なので、1人で抱え込まずに相談してほしい」と呼びかけています。
具体的なハラスメント対策
スタッフ(被害者)が取るべき行動
・逃げる
身の危険を感じたら、ケアの途中であっても荷物をおいてすぐに逃げる。また、周囲に助けを求めたり、防犯グッズを活用する。
・連絡と通報
まずは事務所に連絡をする。状況によっては警察への連絡を行い、事件の証拠tになるものは保管しておく。
・受診をする
身体的、性的暴力を受けた場合は目に見える傷がなくても受診をする
・記録する
訪問看護記録に事件についての事実を簡潔に記載する。ハラスメント報告書を記載する。
事業者・管理者が取るべき行動
・ハラスメントの確認
被害状況の確認して安全確保を図るよう指示をする。警察に通報してスタッフのもとに駆け付ける。利用者宅で事件の状況を確認する。必要に応じてケアマネジャー、警察、医師に連絡をして同伴してもらう。
・加害者家族への連絡
加害者本人に家族に連絡をする旨を伝えたうえで、連絡をする。
・被害者への配慮
心身に及ぼう影響に配慮し、受診の手配や業務の調整等、心のサポートを行う。
・事業所職員への連絡
ハラスメントがあったこと事業所の全職員で共有する。
・再発防止対策
多職種を含めたカンファレンスを行い、保安体制を見直す。
まとめ
訪問看護ステーションにおけるハラスメントは、
1、従事者の4割がハラスメントを受けており、そのうち4割が退職していた。
2、訪問看護におけるハラスメントは大きく分けて身体的、精神的・セクシャルの3種類。
3、スタッフや事業所それぞれの対応策を明確にしておくことが大切。
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