2024年は医療保険・介護保険の同時改定の時期です。医師や看護師をはじめ、医療系の国家資格で仕事をしている人にとっては動向が気になる季節でもあります。
同じ国家資格のはずなのに
そんななか、気になるニュースが飛び込んできました。20年来、リハビリ職の給料が上がっていないという内容の記事です。なぜリハビリ専門職の賃金があがらないのか、知れば知るほどにこの仕事を続けていてもいいものかと不安になってきました。
リハビリ専門職の平均月収
リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)の2022年の平均月収は〝30万1000円〟でした。これは残業代を含む金額です。ここから保険料や年金などの税金が差し引かれると、手取りは24万円ちょっとしかありません。
過去と比較してどれだけ上昇したのか調べてみると、2002年は〝29万5000円〟でした。20年前と比較して上がった賃金は〝6000円〟です。今の物価上昇を踏まえると、微増というよりむしろマイナスになっているのではと思うほどの金額です。
看護師や薬剤師と比較してみると
リハビリ専門職の賃金が20年かけてのんびりと6000円上がっている間に、他の医療職はどのようなになっていたのでしょうか
看護師は32万円から35万2000円へ〝3万2000円〟上昇しています。
薬剤師は33万2000円から41万6000円へ〝8万3000円〟も上昇していました。
こうして比較してみると、リハビリ専門職の賃金上昇率の低さがよくわかると思います。
なぜリハビリ専門職だけ賃金が・・・
医療職の賃金は、国がサービスの公定価格として定めている〝診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス報酬の影響を受けています。2024年の改定でもかわるように、訪問看護の現場でも看護師の報酬は上っているのに対し、リハビリ専門職の報酬は下がる一方です。
また、看護や介護の場合には事業所の職員が取り組むことによって加算を得ることができる評価システムが設けられているのに対し、リハビリには一切ないことも影響しているようです。
公的医療機関で働く人のための人事院規則〝医療職俸給表〟においても薬剤師や臨床検査技師よりも低い投球での扱いとなっています。
リハビリ専門職のマインドも影響している
看護師や薬剤師は自身で薬局や訪問看護ステーション等の経営に参画できる一方、リハビリ専門職が独立して訪問リハビリステーションを経営することは認められていません。
あくまで〝医師の指示のもとで仕事をする〟というマインドが低賃金に至った要因でもあります。もちろん、経営者として会社を立ち上げることはできますが、リハビリ職だけでステーションを運営することは出来ません。また、政治や国にアピールする活動も少なかったようです。
2024年の改定に期待してみる
2024年は医療・介護・障害福祉サービスのトリプル改定が行われました。このなかで、いずれも〝医療関係職の給料のベースアップを図る〟という趣旨が盛り込まれることになりました。
これまでは報酬が引き上げられても、医療機関の経営陣が職員の給料に反映させるとは限りませんでした。そのため、直接給料のベースアップを図るという方針は、どんな職場で働いているリハビリ専門職でも待遇改善を期待できそうです。
まとめ
リハビリ専門職の賃金があがらないという事実を知って、
1、20年間で上昇した賃金はわずか〝6000円〟だけ。
2、原因はリハビリ専門職の置かれた立場やマインドも影響していた。
3、2024年の処遇改善にわずかでも期待して働いてみる。
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