【継続か終了か】要支援のリハビリ打ち切り問題その③

訪問リハのこと

2021年の介護報酬改定に伴い実施された〝要支援のリハビリ打ち切り問題〟ですが、経過とともに様々な課題がみえるようになってきたという印象を受けます。実際に制度が変更されたことでどのようなことが起きているのでしょうか。

なぜ要支援のリハビリは12ヵ月で打ち切られるのか

訪問看護ステーションにて行うリハビリには、認定を受けた介護度によって〝要支援〟と〝要介護〟に分類されており、単位数や介入期間に違いが設けらえています。

・要支援:12ヵ月以降は一回あたり5単位を減算

・要介護:期間の制限なし

となっています。

上記の改定に伴い要支援のリハビリは12ヵ月以内にサービスを打ち切らないと利益が出にくい構造となってしまいました。こうした背景をもとに〝要支援のリハビリは12ヶ月で打ち切る〟という流れが出来上がりました。

訪問を続けるとどれだけ損をするのか

現在の介護報酬は以下のようになっています。

・12ヶ月以内:283単位

・12ヶ月以降:278単位(-5単位)

一週間に一回、40分の訪問を実施した場合、

1ヶ月あたり:40単位 12ヶ月あたり:480単位 の減産になります。

そこまで躍起になって打ち切らなくてもよい気がしますが、私の勤務先を含め多くのステーションで12ヶ月以降はサービスを継続しない対応を取るステーションが多い印象です。

打ち切らないことを売りにするステーションも存在している

こうした流れを逆手にとり〝うちのステーションは12ヶ月以降もサービスを継続できますよ〟というキャッチフレーズを掲げる事業所も出てきています。

減産の影響は利用者さんやケアマネジャーには関係ありません。こうした対応の違いからケアマネジャーも対応に右往左往している方も多いのではないでしょうか。

困ってしまう療法士

リハビリを打ち切りになって困るのは、担当している理学療法士・作業療法士も同じです。

現在の訪問看護ステーションにおける給与体制は、多くのステーションが〝80時間以上の稼働で一時間あたり4000円〟というインセンティブを設けている事業所が多く存在しています。

例えば、1ヵ月の訪問時間が90時間だった場合、基本の給料に40000円を受け取ることができます。

利用者さんが一年で離れてしまうことは、担当する療法士にとっても痛手といえます。

改正ごとに条件が厳しくなるリハビリ分野にとっては、こうした制約が増える度に頭を抱えてしまいます。

負担を強いられるのはサービスを受ける利用者

要支援でリハビリを受けていた利用者さんは、期限を迎えると以下のような対応となります。

・他の事業所がリハビリを引き継ぐ

・同じ事業所で看護師が引き継ぐ

・サービスが終了する

生活が自立されている方の多くはサービス終了を選択されると思いきや。機能回復訓練に注力されている方は事業所を変えてリハビリを継続しています。

他の事業所に引き継ぐことでハビリが継続できるのであれば。同じ事業所で減算せずに12ヵ月以降もサービスを続けさせてもらえうほうが利用者・事業者尾ともに負担は少ないと思うのですが。

まとめ

要支援のリハビリが12ヵ月で打ち切られることで生じるトラブルは、

1、減算になるため利用者を手放す事業所が増えている。

2、それを逆手にとって、継続できることを売りにする事業所が出てくる。

3、結局、リハビリを続けたい利用者が負担を強いられることになる。

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