医療保険は2年に一度、介護保険は3年に一度のペースで診療報酬や決まり事の改定が行われています。リハビリも例にもれず、病院でも訪問でもその都度変わったルールに準じた書類の作成、介入方法の変更などが必要になっていきます。
とりわけ、介護保険は利用者の増加が著しく、財源が足りなくなることが危惧されています。そのため利用料金を増やして利用できるサービスを制限することで〝財政の健全化〟を図るべく、様々な議論が進められています。
2024年に医療・介護の同一改定が行われる
6年に一度のペースで起こる同一時期の改定では、毎回大きな動きがみられています。そこで今回は、次回の改定で注目されている〝起こりそうなこと〟について紹介します。
介護保険の自己負担額が原則2割になるかもしれない
現在の制度では、介護保険の自己負担額は収入に応じて1~3割の間で設定されています。この自己負担額を原則2割に設定し、3割負担の利用者も増やすことで財政健全化を図ろうという議論です。ちなみに現在1割負担で利用している方は、全体に92%を占めていると言われています。
今までのサービスで料金が2倍になると、訪問看護・リハビリの利用も控えられてしまうかも知れません。
訪問介護や通所介護の給付がカットされるかも知れない
要介護1・2の方は総合事業に以降してくださいという議論です。要支援の方と同じ枠組みに入ってもらうことで、訪問介護や通所介護に掛かる保険料を抑えたいという意図があるようです。総合事業で支援する場合、地方自治体が主体となりボランティアや地域のサポートに頼ることになります。
訪問看護・リハビリでも、要支援の方は一年以上の介入は50%の減算となったばかりですが、これから先は要介護の方も長期の介入は減算の対象になるのでしょうか。
ケアマネジメント料も自己負担が生じるかも知れない
現在の制度では、ケアマネジャーが行うケアプランの作成やマネジメント料は、すべて公費で賄われています。ケママネジャーがやっているこれらの仕事に対しても自己負担をしてもらおうという議論です。
無料でやってもらっていることで納得していた支援内容も、自己負担が生じることでより利用者や家族の意向を反映してほしいと圧力が掛かることが予想されます。ただでさえ多忙なケアマネジャーの業務量がさらに増えることに加え、訪問看護やリハビリに対する要望ももっと強くなるような気がします。
訪問看護ステーションの人員規定が変更されるかも知れない
訪問看護ステーションにおける人員比率は、看護師に対してリハ職は50%以内でにしてくださいという議論です。これは前回の改定時に議論されたものの、先送りになった事項ですが、リハビリ職の私としては正直決まったらやだなと思っています。
看護師が10人いるステーションでは、そこで働けるPT・OT・STは5人までしか働くことができません。こうした内容が議論された背景には、訪問看護におけるリハビリの利用者が増えすぎてしまったことが一因のようです。
当時、この話が社内ミーティングで挙がった時〝リハは何人かクビになるね〟と笑って言い放った管理者の姿が今でも目に焼き付いています。
まとめ
2024年の介護保険改定で議論されていることは、
1、介護保険財政の健全化に向けた議論が進められている。
2、利用者負担を増やし、利用できるサービスは制限される。
3、巡り巡って訪問看護やリハビリも利用にも影響が出そう。
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