訪問看護ステーションで提供されている代表的なサービスのひとつに〝緊急時訪問看護加算〟が挙げられます。医療保険で提供される〝緊急訪問加算〟と名称は似ていますが、中身は大きく異なります。医療保険の緊急訪問看護加算はこちらからの記事を参照ください。
緊急時訪問看護加算とは
介護保険における緊急時訪問看護加算については、中重度の要介護者が在宅で過ごせるように、24時間緊急の連絡や相談対応、訪問依頼対応を受ける体制であることを評価する加算です。月の第一回目に介護保険の訪問看護を行った日の所定単位数として算定が可能です。
加算の種類と単位数は以下の通りです。
| 種類 | 算定要件(Ⅰ)の単位数 | 算定要件(Ⅱ)の単位数 |
| 訪問看護ステーション | 600単位/月 | 574単位/月 |
| 病院・診療所(みなし訪看護ST) | 325単位/月 | 315単位/月 |
基本的な算定要件╱(Ⅰ)と(Ⅱ)に共通している要件
1、利用者に緊急時訪問看護加算の算定をすることについて同意を得ている
2、計画していた訪問以外の緊急時の訪問が行える体制である
3、都道府県に届け出を行っている
算定要件(Ⅰ)
1、利用者または家族から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制にあること。
2、緊急時訪問における看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が行われていること。
算定要件(Ⅱ)
緊急時訪問看護加算(Ⅰ)の1に該当するものであること。
常時対応できる体制とは
・〝常時対応できる体制〟とは、24時間の連絡相談に対応すること。
・対応を行うのは原則、訪問看護事業所の保健師または看護師)であること。
十分な業務管理等の体制の整備とは
次のアまたはイを含む2項目以上を満たす必要がある。
(ア)夜間対応した翌日の勤務間隔の確保
(イ)夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)まで
(ウ)夜間対応後の暦日の休日確保
(エ)夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫
(オ)ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減
(カ)電話等による連絡及び相談を担当する者に対する支援体制の確保
算定する時の留意ポイント
緊急時訪問看護加算は、その月の1回目に訪問した訪問看護の所定単位数に加算する
その月の1回目の緊急時訪問では、早朝・夜間、深夜の時間帯に訪問した場合でも、早朝・夜間、深夜加算は 算定できない。ただし、同月2回目以降の緊急時訪問では、早朝・夜間、深夜の時間帯に訪問した場合、早朝・夜間、深夜加算を算定できる
訪問看護の緊急時訪問看護加算、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の緊急時訪問看護加算、看護小規模多機能型居宅介護の緊急時訪問看護加算、医療保険における訪問看護の24時間対応体制加算は、1人の利用者に対して1ヵ所の事業所しか算定できない
実際に緊急時訪問を行った場合、その所要時間に応じた所定単位数を算定し、居宅サービス計画を変更する手続きが必要になる
まとめ
緊急時訪問看護加算を算定する時の注意点は、
1、訪問看護ステーションと病院・クリニックでは単位数が区別されている。
2、算定要件によって(Ⅰ)と(Ⅱ)に区分されている。
3、算定時には細かい決まりが設けられているため、条件をしっかりと確認しておく。

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