以前からニュースでも取り上げられている訪問看護ステーションの不正請求問題。2025年3月12日に開催された中央境保険医療審議会・総会において〝1件当たりの請求額〟が高額な訪問看護ステーションについて、指導・監査を行う仕組みを設けることが決定しました。
稼ぎすぎてない?悪質な訪問看護ステーションへの対応
広域展開する訪問看護ステーションへの対応
利用者ニーズの高まりを受け、訪問看護ステーションの事業所数・訪問看護の医療費は増加傾向にあるなか、問題となっているのが、年間の請求額や患者一人あたりの請求額が非常高い事業所が存在していることです。
そこで、下記の方針を示しました。
複数都道府県にわたって広域で運営されている訪問看護ステーションについて、より効果的な指導を実施するため、厚労省本省・地方厚生(支)局・都道府県による指導の仕組みを新設する
「高額な請求を行っている」など一定の基準に該当する指定訪問看護ステーションに対し「教育的な視点による指導機会」(選定基準)を設ける
さらに指導方法を2つに分け、新たに〝共同指導〟を設けることになりました。
【共同指導】
厚生労働省ならびに地方厚生(支)局および都道府県が共同で、「特定の範囲の訪問看護ステーション」または「緊急性を要する場合など、共同で行う必要性が生じた訪問看護ステーション」について行う
【都道府県個別指導】
地方厚生(支)局および都道府県が共同で行う
共同指導について
① 指導方法
・都道府県指導に準じて、指導通知を対象訪問看護ステーションに通知
・指導月以前の連続した2か月分の訪問看護療養費請求書に基づき、関係書類等を閲覧し面接懇談方式で実施
② 指導対象
・対象候補の中から厚働省・地方厚生(支)局・都道府県が協議のうえ選定
③ 選定基準
・同一指定訪問看護事業者に係る複数の都道府県に所在する訪問看護ステーション
・その他、特に共同指導が必要と認められる訪問看護ステーション
④ 指導担当
・地方厚生(支)局長が指名する事務官および非常勤の看護師、必要に応じて技官、非常勤の医師
・都道府県において適当と認める者
・厚労省保険局医療課の医療指導監査担当官
個別指導について
① 対象事業者
・訪問看護療養費請求書の1件当たりの平均額が高い訪問看護ステーション
・ただし、取扱件数の少ない訪問看護ステーションは除く
・一件当たりの平均額が高い順に選定
② 選定方法
医療課長通知による選定方法の考え方
・指導対象となる〝高額訪問看護ステーション〟の選定には、訪問看護療養費請求書の一件あたりの平均額に加え、
各都道府県において、当該都道府県の訪問看護ステーションの特性、療養費の実態等を勘案する。
・高額訪問看護ステーションの選定に用いる訪問看護療養費請求書一件当たりの平均額算出基礎となるデータは、当
面、社会保険診療報酬支払基金及び、国民健康保険団体連合会からのデータによる。
③〝単価が高い〟の見極め
・重度の利用者が多く単価が高くなっているのか
・不適切に頻回な訪問を行い単価が高くなっていないか
④ 監査の実施通知
・実施日は概ね1週間前から10日後に通知する
・悪質な訪問看護ステーションに対する監査の実施については、必要に応じ監査の当日に通知を持参する
悪質な訪問看護ステーションには、事前通知なく〝抜き打ち監査〟を実施もあり得るということになります。
まとめ
1、指導方法には〝共同指導〟〝個別指導〟に分けて実施する。
2、共同指導では、特定の範囲・または緊急を要する場合に対して実施される。
3、個別指導では、より悪質なケースには事前通告なく抜き打ち監査を実施する。
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