昨今の介護保険改定からもわかるように、リハビリに割り当てられる財源を減らすべく年々サービスが提供しづらい制度設計が構築されている気がします。そんな中、リハビリを上手く活用するための提言がニュースになっていたので紹介します。
これから介護士がリハビリを担う時代が到来する?
2025年2月に開かれた日本慢性期医療協会の定例記者会見にて、橋本会長から下記の提言がありました。
介護人材確保が困難となる中では、「寝たきり高齢者」の増加を防止することが必要不可欠である。このためには「リハビリテーションの視点・知識・技術を持った介護福祉士」などを養成し、日常生活を支援する中でのリハビリ実施を進めていくことが重要である。
2025年以降は医療・介護のニーズが高まる一方で・・・
2025年はすべての〝団塊の世代〟が75歳を超えて後期高齢者に達します。
・医療、介護サービスを必要とする85歳以上の高齢者比率は増加(↑)
・サービス提供の支え手となる生産年齢人口は減少(↓)
減少していく若年世代で増えていく高齢者を支えるためには〝効率的・効果的な医療・介護提供体制〟を構築していくことが急務となっています。
訪問リハビリの限界と介護士の潜在力
現在、介護保険で訪問リハビリを利用する場合、一週間に2時間という上限が定められています。介護度が高くても、リハビリの必要性が高くても個々のケースに応じた配慮はなされません。
一方で施設で関わる介護士が利用者と接する時間は〝毎日4時間〟あるといわれています。利用者と寄り添う時間が長い介護士がリハビリの視点を持って介入することで、リハビリとリハビリ介護により、より多いリハビリ時間を確保することができます。
質と量を確保することで、機能改善と要介護度改善を促進することが狙いのようです。
具体的にどんな方法でリハビリ知識を得るのか
実際に介護士がリハビリの知識や技術を得るにあたり、日本慢性期医療協会の会長は以下の構想について言及しています。
・介護職員にリハビリの視点・知識・技術を伝授する研修会を実施する
・1泊2日で知識・技術を学び、その後、年1回程度のフォローアップ研修を受ける
リハビリ専門職が養成校で3年~4年掛けて学んだ知識を、介護士が上記のカリキュラムで習得が可能となれば効率的にリハビリ介護士を増やすことができます。
リハビリ介護士がリハビリをした場合に加算や手当ては付く?
この点についても、日本慢性期医療協会の橋本会長は下記の提言を行っています。
地域包括ケア推進病棟協会では〝POC(point of care)リハビリ〟(患者の傍らで、20分未満の短時間、ADL改善訓練を行うもの、POCリハビリを行わない場合に比べて、ADL改善効果が高いとの研究成果あり)を提唱している。この考え方とも調整し、リハビリ介護士の診療報酬・介護報酬上の評価を厚労省に提言していく
としています。制度上の縛りによってリハビリ専門職では手が届かない部分にも、リハビリ介護士であればコミットすることができます。
まとめ
日本慢性期医療協会が提言したリハビリ介護士とは
1、リハビリ専門職より患者に寄り添う時間が長い介護士によるリハビリを提唱
2、リハビリの知識や技術を習得するため一泊二日で知識や技術を学び、年一回のフォローアップ研修を行う
3、介護士が研修に参加できるような手当、診療報酬・介護報酬上の評価についても厚労省に提言する
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