新規依頼の利用者に対して、皆さんのステーションではどのように訪問日数や時間を決定していますか。
建前では主治医の〝訪問看護指示書〟に基づいてサービスを提供することになっていますが、実際は訪問看護指示書の記載内容を事業所から提案(というより指示)しているケースもあったりするのでしょうか。
特にリハビリに関しては訪問頻度や時間はもとより、職種(PT・OT・ST)まで細かく指定する決まりになってから、サービス提供の柔軟さが減ってしまったように感じます。
過剰なサービス提供を抑制へ
厚生労働省が見解を出した背景
昨年のニュースや当ブログで取り上げた記事でも話題になった〝過剰なサービス提供〟が原因にあります。
詳しくはこちらの記事も参照してみてください。
特に話題になったのが、ある精神科訪問看護事業所による不当な過剰訪問です。従業員の内部告発によって明らかになった内容に驚いた方も多いのではないでしょうか。
不正を行う事業所が増えることで、医療保険・介護保険の貴重な財源が不適切に消費されてしまい、本当に訪問看護が必要な利用者へのサービスに支障も出かねません。こうした事態を重くみた厚生労働省は、訪問看護のにっすや時間について次のような算定ルールを提示しています。
明文化した内容がこちら
■指定訪問看護事業者は、基準省令に従い〝訪問看護を受ける者の心身の状況〟などに応じて自ら適切な指定訪問看護を提供する。
■指定訪問看護は、利用者の心身の特性を踏まえて、利用者の療養上、妥当適切に行い、日常の療養生活の充実に資するようにするとともに、漫然かつ画一的なものにならないよう、主治医との密接な連携のもとに看護目標・訪問看護計画に沿って行う。
■指定訪問看護の提供については、目標達成の度合いやその効果等について評価を行うとともに、訪問看護計画の修正を行い、改善を図る等に努めなければならない。
ルールの解釈で注意すべきポイント
厚生労働省によると・・・
・日数 ・回数 ・実施時間 ・訪問する人数
上記の項目について、訪問看護ステーションの看護師等が訪問時に把握した利用者や家族等の状況を踏まえて、主治医から交付された訪問看護指示書に基づき検討するようにとお達しを出しています。
〝訪問看護指示書通り〟ではなく、指示書に基づき検討することが大切ということになります。
ルール違反となり認めらない事案
・看護師が利用者の個別の状況を踏まえずに一律に訪問看護の日数等を定めること。
・訪問に直接携わっていない事業所の開設者等が訪問日数や回数を定めること。
ほとんどのケースで担当者会議等により介入の頻度や時間を調整していると思います。基本的には介護保険の点数内に収まるようにサービスを組むため、訪問看護だけが優先的に上限までサービスを入れること自体が健全な環境では起こりえない事態だと思います。
それでも事業所内で多様なサービスを提供している場合(施設運営+訪問看護事業)に、トップの管理者が上限いっぱいのサービス提供を指示していた事案も報告されています。
まとめ
訪問看護の提供日数や時間を決める際の注意点は、
1、訪問看護指示書に基づいて適切なサービスを提供する。
2、個別の状況を踏まえずに一律に訪問看護の日数を決めてはいけない。
3、訪問に直接携わっていない事業所の開設者等が訪問日数や回数を決めてはいけない。
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