【デジタル】訪問看護ステーションのDX化問題【アナログ】

働き方について

私が勤務している訪問看護ステーションでは、いまだにファックスや電話でのやりとりが主となっています。日中は訪問に出ている時間が多いのも関わらず、電話でのやりとりに不便さを感じている方も多いのではないでしょうか。今回は訪問看護ステーションにおけるDX化の現状について紹介します。

DX化とは

そもそもDXと言われてもピンと来ない医療従事者が多いのではないでしょうか。

DXとは、デジタル技術を社会に浸透させて人々の生活をより良いものへと変革することを指します。 デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、直訳すると「デジタル変革」という意味になります。

看護やリハビリの業務内容で関係するところでは〝カルテ〟があげられます。病院や訪問看護ステーションによっては、カルテの電子化が進んだことで文字を書いて記録する機会は減少傾向にあります。一方で未だにアナログな環境で仕事をしているところがあるもの事実です。

数か所の訪問看護ステーションに勤務していた経験から、3つの職場環境についてご紹介します。

アナログな職場

デジタル化の恩恵を全く受けていない職場です。

訪問先でバイタルや介入内容をメモ帳に記録します。一日で5~6件の訪問を終え、ステーションに戻ってから利用者一人ひとりのカルテを取り出し、メモ帳を確認しながらカルテを記載していました。終業前に余裕を持って帰社できれば良いのですが、ぎりぎりまで訪問していた場合はほとんどが残業になってしまいます。

また、ご利用料金も現金による徴収を徹底しており、月謝袋をフル活用していました。スタッフ個人におつり用の現金も預けておらず、ステーションでコツコツと集金確認を行っていました。

毎月の計画書や報告書は介護ソフトを利用していましたが、会社のパソコンでしかサイトにログインすることができないため、訪問時の空き時間もわざわざステーションに戻って作業を行う必要がありました。

アナログとデジタルが入り混じった環境

完全にデジタル化はされていないものの、少し利便性が向上した職場環境です。記録は複写式の用紙を常に携帯し訪問時に手書きでバイタルや記録の記載がすべて完結できます。一部は利用者の控えとして残し、残りの一部はカルテとしてステーションで管理されます。

ステーションでは記録をスマートフォンで撮影し、介護ソフトのサーバーにアップロードする必要があります。アナログとデジタルが入り混じった環境になっていました。こちらのステーションで使用されていた介護ソフトは出先でもログインできたため、休みの日や夜にゆっくりと作業ができる環境はとても便利でした。

デジタル化された環境

電子化カルテが導入され。完全に書面による作業が不要となる環境です。訪問先で介護ソフトにログインして、バイタルや記録を打ち込むことができます。作業に手間取ってしまう場合はバイタルのみ記録して、介入記録は空いた時間に入力することも可能です。

記録用紙のアップロードは必要ありませんが、カルテには印刷した記録用紙を保存する必要があります。利用者の介入記録は終了後から2年間の保存義務があるためデジタル化による管理が難しいことも挙げられます。

ケアプランや提供表は未だにファックス

ケアマネジャーから送られてくるケアプランや提供表は、未だにファックスが利用されています。送り先の誤りや送り忘れ等の作業ミスもあり、事務職のスタッフが電話で確認する場面も見受けられます。

書類のやり取りにメールを活用すれば、経費の削減や作業ミスの確認も行いやすいことは明らかですがなかなかデジタル化にシフトしていきません。その理由のひとつに、業界で働く人の高齢化が挙げられます。パソコン作業や目メールの管理に疎いという理由から、現状でもファックスが重宝されている要因のひとつとなっています。

ファックスの返信も送付状を手書きで行い、送られてきた送付状に〝受け取りました〟の□にチェックを入れて返信する作業から解放される日は、未だに遠いように思います。

照会用紙の記載依頼も定期的にありますが、記入スペースが狭い書面に小さい文字で手書きをしている現状が、いち早く改善されることを望むスタッフも多いのではないでしょうか。

個人のメールアドレスさえ付与されていない

一般的な企業に勤めている人たちの名刺には、個人宛のメールアドレスが記載されていることが多いと思いますが、医療・福祉の業界で個人用のメールアドレスが記載された名刺はあまり見受けられません。

私が勤務していたステーションでも、個人アドレスを付与してくれた職場はひとつもありませんでした。この部分だけでもデジタル化が進めば、電話による連絡・書面でのやりとりが大きく削減されると思うのですが。

かなり低い次元のDX化問題ですが、少しでも効率よく業務をするためにデジタル化が進むことを願うばかりです。

まとめ

訪問看護ステーションのDX化について考えたら、

1、職場環境によって少しずつデジタル化は進んでいる。

2、未だに電話やファックスを活用している原因は、働いている人の年齢層も影響している。

3、業務の効率化により提供サービスの質が向上していく余地は多いにある。

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