求められる緊急時の対応力
訪問看護ステーションで仕事をするうえで必要なスキルのひとつに〝緊急事態の対応力〟が挙げられます。訪問先で利用者さんや家族が倒れていた場合、迅速な対応が求められる場面でしっかりと行動できるよう知識を深めておく必要があります。
室内に入ることができない場合
訪問しても応答がない
予定された時間にインター本を押しても応答がなく、ドキッとする場面に遭遇した方も多いのではないでしょうか。多くの場合は以下の理由が考えられます。
・外出していた(買い物・通院)
・寝ていた(訪問があることを忘れていた)
・キャンセルをしていたが共有されていなかった
インターホンを数回押して反応がない場合、まずはステーションに確認をします。
当日にキャンセルの連絡が入っていた場合は無事が確認されます。
ステーションに連絡が来ていない場合、担当のケアマネジャーに連絡をします。
ケアマネジャーが事情を知っている場合はそこで解決します。
事情がわからないのであれば
外出の予定やキャンセルの連絡がなく、利用者さんの応答がない場合は眠っているか室内で倒れている可能性があります。現時点では緊急事態の判断は難しく、担当のケアマネジャーやステーション管理者の指示を仰ぎます。
担当のケアマネジャーからキーパーソンや家族に連絡を取ってもらい対応が協議されます。
室内に入ることができた場合
意識がある場合
転倒や転落により起き上がることができない場面に遭遇した場合は、すぐに身体を起さないように気を付ける必要があります。
骨折、神経が損傷している、脳内で出血や梗塞がある場合は性急な動作は避けたほうがよいとされています。落ち着いて会話ができるようであれば、身体機能のアセスメント、バイタルチェックを行ってからベッドや椅子まで起こしていきます。
状況によっては救急搬送する必要があるため、ステーションに電話をして管理者からの指示を仰ぎます。救急搬送の必要性については自己判断せず必ず指示を受けてましょう。
意識がない場合
利用者さんが呼吸をしているが意識がない場合、まずはステーションに電話をして管理者の指示を仰ぎます。ほとんどの場合は救急車を呼ぶよう指示されます。
119番に電話を掛けると〝火事ですか・救急ですか〟と聞かれます。
救急であることを伝え、利用者さんの住所や状態について聞かれるので適宜対応していきます。
到着を待っている間、可能であれば保険証やお薬手帳などを持参できると搬送時の処置がスムーズに行えます。介入開始時に確認、共有できているとより安心です。
最近では救急車を要請した場合でも消防車が一緒に来ることになったようです。
救急隊が到着して救急車に乗せられたあと、同行を求められるケースがあります。次の訪問予定に余裕があれば同伴してもよいと思いますが、訪問先に車や自転車を置いていく場合、到着先の病院からは自分の足で戻ってくる必要があるので注意が必要です。
呼吸をしていない場合
呼吸をしていない状態の利用者を見つけた場合、まずは身体に触れて体温を確認します。心肺停止直後であればまだ心肺蘇生の可能性があります。
まずはステーション管理者に連絡を入れます。利用者によっては万が一の際、主治医に連絡をする手筈になっている可能性もあるため確認を行います。
次は警察に連絡を入れます。警察では〝事件ですか・事故ですか〟と聞かれるので、状況を伝えます。先に警察に連絡をした場合、救急隊への連絡は警察がやってくれます。
通報後、警察官、ドクターカー、刑事さんがやってきます。ドクターカーには看護師や医師が乗っており、AEDを使用したり心肺や呼吸の有無を確認する機会を取り付けます。亡くなっていることが確認されると死亡診断を行い帰ります。
刑事は実況見分が終了するとご遺体を運び出して帰っていきます。もしも第一発見者になった場合、事情聴取で30~60分は現場に留まる可能性があります。先のスケジュールが埋まっている場合は管理者に現場に来てもらい、引き継いでもらいます。
緊急通報後にやっておいたほうがよいこと
救急車でも警察官でも、緊急通報を行った場合は利用者さんの情報が重要になります。
健康保険証、介護保険証、診察券、お薬手帳、家の鍵などの情報があると、事後の手続きが円滑になります。事前に確認、共有しておくとで緊急時も落ち着いて行動することができます。
まとめ
訪問先の利用者さんが倒れていたら
1、落ち着いて状況を確認する。
2、緊急通報後に取るべき行動をシュミレーションしていく。
3、利用者の医療情報の取り扱いや緊急時の対応について確認しておく。
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