車椅子、しっかり選定できていますか?
訪問リハビリの担う役割のひとつに〝福祉用具の選定〟が挙げられます。
自宅退院前の家屋評価を実施した際に経験したこと方もいるのではないでしょうか。
その中で、じっくりと選定してもらえないものの代表格が〝車椅子〟です。
車椅子の位置づけ
車椅子は〝補装具〟に分類されています。
補装具の定義とは
1,障碍者等の身体機能を補完し、または代替し、かつ、その身体への適合を図るように制作されたものであること。
2.障碍者等の身体に装着することにより、その日常生活において、または就労もしくは就学のため に同一の製品につき長期間にわたり継続して使用されるものであること。
3.医師等による専門的な知見に基づく意見、または診断に基づき使用されることが必要とされるものであること
ほかにも、眼鏡、補聴器、義肢装具などが同じ補装具に分類されています。
眼鏡や補聴器、義肢装具を使用する場合はしっかりと適合チェックを行い、時間を掛けて身体機能に適合したものを使用するに対し、車椅子の選定はあまり重要視されていない気がしませんか?
あらかじめ決められたモデルから選ぶからこそ、利用者の身体に適した車椅子を選ぶ必要があります。
車椅子は誰が選定してもいいのか
補装具に分類される車椅子の選定は誰が行っているのでしょうか。
病院などのマンパワーのある環境では、車椅子選定の知見ややシーティングの知識をもった人材がいてチームで関わっているところもあります。
在宅では、ケアマネジャーや福祉用具の担当者が車椅子を選定しているケースが多く、療法士が関わる機会は少ないのが現状です。訪問看護やリハの依頼を受け、初回介入時にはすでに導入されているケースが多いのではないでしょうか。
車椅子の変更を提案するケースもありますが、取り換えることに難色を示す方も多く、実現しづらい現状もあります。
理学療法士・作業療法士の役割は
リハビリの専門職といわれている理学療法士・作業療法士には、福祉用具選定のスキルはどの程度求められるのでしょうか。
理学療法士・作業療法士をはじめ、看護師や社会福祉士、介護福祉士などの国家資格を持っていれば、介護保険の指定福祉用具貸与・販売事業所における福祉用具専門相談員の業務にあたることができるということになっています。
理学療法士・作業療法士として働いているのであれば、福祉用具全体とは言わないまでも、車椅子選定のスキルは有しておきたいところです。
車椅子選びポイント3選
・モジュール型を選ぶ
車椅子は大きく分けて標準型とモジュール型に分けられます。
標準型はショッピングモールや病院の出入り口においてあるいわゆる一般的なタイプの車椅子です。サイズのバリュエーションはあるものの、基本的に細かい調整はできません。
モジュール型とは、座面の幅や高さ、背張りの微調整ができるタイプの車椅子です。オーダーメイドほどぴったりとフィットすることはできませんが、逆に言えば身体機能の変化に応じて再調整できるメリットがあります。
レンタル料金も標準型が200円前後に対して、モジュール型は500円程度でレンタルすことができます。
・用途を明確にする
車椅子を選定する際にあまり議題に上がらないのが〝使用する用途〟です。一番は移動手段ですが、そこから食事、休憩とひとつの車椅子に多くの役割を求めてしまう方が多いようです。
微調整をすることで多少の融通は利きますが、やはり〝食事〟に使うのであれば食事に適した車椅子を使うことが理想的です。
・住環境を踏まえたサイズ
せっかく身体に適した車椅子を選定しても、家のなかで活用できなければ意味がありません。部屋の広さやベッドの位置など、生活導線に車椅子が適しているか評価した上で、車椅子の導入提案を行う必要があります。
まとめ
在宅で使用する車椅子を選定するのであれば、
1、ケアマネジャーや福祉用具事業者に任せるだけでなくリハビリ職の目線で提案する。
2、標準型の車椅子よりもモジュール型の車椅子を選定する。
3、車椅子は使用する用途を明確にして住環境に適したものを選定する。
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