【BBS】バーグバランススケールの使い方と活用方法【バランス評価】

訪問リハのこと

医療や介護の現場では、利用者さんのバランスが良いとか悪いとか評価をしながら支援を行います。あ当たり前のように使っている〝バランス〟という言葉の意味しかり、バランス能力の評価は、評価者の主観による影響も少なくありません。

  1. バランス評価をより客観的に行うには
    1. バランス評価 バーグバランススケールとは
    2. 採点方法
      1. 1、立ち上がり 手を使わずに立ってください。
      2. 2。立位保持 つかまらずに2分間立位を保持してください。
      3. 3、座位保持 手を組んで2分間座ってください。
      4. 4、着座 椅子に座ってください。
      5. 5,移乗動作 椅子からベッドへ移ってください。また椅子へ戻ってください。
      6. 6、閉眼での立位保持 目を閉じて10秒間立ってください。
      7. 7、両足を揃えての立位保持 足を揃えなにも掴まらずに立っていてください。
      8. 8、両手前方リーチ 片腕を90度挙げ指を伸ばした状態でできるだけ前方に手を伸ばしてください。
      9. 9、拾い上げ 目の前に置いた靴(またはスリッパ)を拾ってください。
      10. 10、振り返り 左の肩越しに後ろをみてください。右でも繰り返します。
      11. 11.360°方向転換 完全に一回転まわってください。逆方向にも一回転まわってください。
      12. 12、段差交互踏み換え それぞれの足を交互に段差にのせてください。それぞれ4回続けてください。
      13. 13。継ぎ足立位 片方の足をもう一方の足のすぐ前に接地してください。
      14. 14、片脚立位 つかまらずに、できるだけ長く片足で立ってください。
    3. BBSのカットオフ値
    4. バーグバランススケールの活用方法
  2. まとめ

バランス評価をより客観的に行うには

そもそも身体におけるバランスとは、静止姿勢または動作中の姿勢を任意の状態に保つ、または、不安定な姿勢から速やかに回復する能力のことをいいます。特に訪問看護の対象となる高齢者では、〝立つ〟〝歩く〟といった動作能力の低下から、ふらうきや転倒のリスクが高まる傾向にあるため、客観的なバランス評価は大きな役割を担っています。

バランス評価 バーグバランススケールとは

決められた14項目の動作を行い〝0点〟から〝4点〟で点数をつけます。最大スコアは56点です。はじめは椅子からの立ち上がりといった難易度の低い動作から行い、最終的には片脚立位バランスといった高度なバランス機能まで評価を行います。

時間は15分~20分程度です。慣れた評価者では10分程度で測定できるようになります。

評価に必要なものは、ペン、評価用紙、椅子、踏み台、ストップウオッチ、メジャーです。

採点方法

各動作において、バランスを崩すことなく実施できれば満点の4点となります。

以下の項目に当てはまる場合は減点の対象となります。

・時間または距離の要件が満たされていない場合

・動作を行う際に監視が必要な場合

・外部の支持物に触れたり、介助を要する場合

続いて14項目の評価項目です

1、立ち上がり 手を使わずに立ってください。

高さが40~42cmの椅子を使用

4点:手を使わずに椅子から立ち上がることができる

3点:手を使えば立ち上がることができる

2点:何度か行えば手を使って立つことができる

1点:立ち上がり・立位保持に少しの介助を要する

0点:立ち上がるには中等度から最大の介助を要する

2。立位保持 つかまらずに2分間立位を保持してください。

ストップウオッチを使用。

4点:2分間立位を保持できる

3点:見守りがあれば2分間立位を保持できる

2点:介助なしで30秒間立位を保持できる

1点:何度か行えば30秒間立位を保持できる

0点:介助なしでは30秒間立っていられない

3、座位保持 手を組んで2分間座ってください。

ストップウオッチを使用。床に足をつけ背もたれは使わない。

※立位保持の評価が4点だった場合は自動的のこの項目も4点となり次の評価に移ります。

4点:完全に2分間の座位保持ができる

3点:見守りがあれば2分間座位保持ができる

2点:30秒の座位保持ができる

1点:10秒の座位保持ができる

0点:介助なしでは10秒間の座位保持ができない

4、着座 椅子に座ってください。

4点:ほとんど手を使わずに安全に座ることができる

3点:手を使って着座を制限している

2点:両下肢後面を椅子に着けて着座を制限している

1点:ひとりで座れるが着座が制限できない

0点:座るのに介助を要する

5,移乗動作 椅子からベッドへ移ってください。また椅子へ戻ってください。

車椅子からベッド または 手すりのある椅子から手すりのない椅子

4点:手をわずかに使うだけで安全に移乗できる

3点:手をしっかり使えば安全に移乗できる

2点:口頭指示もしくは見守りがあれば移乗できる

1点:移乗に介助者1名を要する

0点:安全確保のため2名の介助者を要する

6、閉眼での立位保持 目を閉じて10秒間立ってください。

ストップウオッチを使用。

4点:安全に10秒間閉眼立位を保持できる

3点:見守りがあれば10秒間閉眼立位を保持できる

2点:3秒間の閉眼立位が保持できる

1点:3秒間閉眼していられないが安全に立位が保持できる

0点:転倒しないよう介助を要する

7、両足を揃えての立位保持 足を揃えなにも掴まらずに立っていてください。

ストップウオッチを使用。

4点:両足を揃えてひとりで1分間安全に立位保持できる

3点:両足を揃えて見守りのもと1分間立位保持ができる

2点:両足を揃えてひとりで立位保持できるが30秒保てない

1点:両足を揃えての立位保持には介助を要するが15秒間可能

0点:両足を揃えての立位保持に介助を要し15秒間保てない

8、両手前方リーチ 片腕を90度挙げ指を伸ばした状態でできるだけ前方に手を伸ばしてください。

メジャーを使用。立位で実施。体幹の回旋を防ぐため可能であれば両手で行う。

4点:自信をもって前方に25cm届く

3点:前方に10cm届く

2点:前方に5cm届く

1点:前方に出せるが見守りが必要

0点:行おうとするとバランスを崩すか、かなりの介助を要する

9、拾い上げ 目の前に置いた靴(またはスリッパ)を拾ってください。

靴またはスリッパを使用。立位で実施。

4点:安全かつ簡単に行うことができる

3点:拾うことはできるが見守りが必要

2点:拾うことはできないが2~5cm手前まで手を伸ばすことができる

1点:拾うことはできず検査をするには見守りが必要

0点:行えないかもしくはバランスを崩したり転倒しないよう介助を要する

10、振り返り 左の肩越しに後ろをみてください。右でも繰り返します。

立位で実施。

4点:両側から後方をみることができ、うまく体重移動もできる

3点:片方から後方をみることができるがもう一方は体重移動が少ない

2点:横向きまでなら回旋できバランスを崩さない

1点:回旋には見守りを要する

0点:バランスを失ったり転倒しないように介助を要する

11.360°方向転換 完全に一回転まわってください。逆方向にも一回転まわってください。

4点:4秒以内に安全に360°まわることができる

3点:片方にのみ4秒以内に安全に360°まわることができる

2点:ゆっくりと360°まわることができる

1点:近接の見守りか口頭指示が必要

0点:まわる際に介助を要する

12、段差交互踏み換え それぞれの足を交互に段差にのせてください。それぞれ4回続けてください。

4点:20秒間にひとりで完全に8回踏み換えることができる

3点:ひとりで8回踏み換えることができるが20秒を超える

2点:見守りのみで完全に4回踏み換えできる

1点:少しの補助があれば完全に3回以上踏み換えできる

0点:転倒しないためには介助を要する。もしくは行えない

13。継ぎ足立位 片方の足をもう一方の足のすぐ前に接地してください。

※難しい場合はもう一方のつま先よりもできるだけ遠くに踵を接地してください。

※3点獲得のためには、ほぼ正常の歩隔で手前の足より遠くに接地できる

4点:ひとりで継ぎ足を行い30秒保持できる

3点:ひとりで前方に足を出し30秒保持できる

2点:ひとりで前方に小さく足を出し30秒保持できる

1点:足を出すには介助を要するが15秒保持できる

0点:足を出す際、もしくは立っている時にバランスを崩してしまう

14、片脚立位 つかまらずに、できるだけ長く片足で立ってください。

ストップウオッチを使用。

4点:ひとりで片脚を上げて、10秒超保持できる

3点:ひとりで片脚を上げて、5~10秒保持できる

2点:ひとりで片脚を上げて、3秒以上保持できない

1点:ひとりで片脚できるが、3秒まで保持できない

0点:転倒を防ぐには介助を要する

BBSのカットオフ値

バーグバランススケール(BBS)は点数によってカットオフ値が設定されています。

・ 0~20点:バランス障害あり

・21~40点:許容範囲のバランス能力

・41~56点:良好なバランス能力

カットオフ値とは、病態を識別するための検査や測定に用いられ、基準範囲を基本として正常とみなす範囲を決める時に、その範囲を区切る値のことをいいます。

BBSでは文献によって値が異なるため、他の評価と組み合わせて制度を高めていく必要があります。

バーグバランススケールの活用方法

BBSはバランス能力を点数できる点が大きなメリットです。リハビリを経てバランス能力が向上したことを数値で確認できることは患者さんにとっても励みになります。

また、経過を客観的に記録できる点も大きなメリットです。

デメリットとしては、情報共有する際にこの評価方法を知っていることが前提となる点です。理学療法士や作業療法士であれば話は通じやすいと思いまが、BBSのことを知らない看護師やケアマネジャーと情報を共有する際は、別の伝え方が必要になります。

まとめ

バーグバランススケールを活用するポイントは、

1、バランス能力を客観的に点数化することができる。

2、多職種と情報を共有する際には伝わりにくいことがある。

3。他の評価と組み合わせることで制度を固めることができる。

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