訪問でリハビリを行うには〝訪問リハビリステーション〟か〝訪問看護ステーション〟に属している必要があります。サービスを受ける利用者さんには大きな違いはありませんが、そこを主戦場としている理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の方は、これらの違いを知っていて損はないかと思います。
また、これから先の働く場所、働き方についても検討しておいたほうがよいと思います。
訪問看護のリハビリは値下げラッシュ
臨床で治療に専念している時はあまり気にしていませんでしたが、リハビリの診療報酬は下がり続ける現状を目の当たりにするといろいろと考えてしまいます。実際に経営や給料にも影響してきますので〝自分事〟として気にしておく必要があります。
そんな折、2021年介護保険の改定で、ついに訪問看護と訪問リハの診療報酬が逆転してしまいました。ちなみに〝訪問看護〟と〝訪問リハビリ〟の違いについて以下で確認しておきます。
訪問リハビリと訪問看護の違い
〝訪問リハビリステーション〟は、病院やクリニック、介護老人保健施設に併設された部署として一躍を担います。特例を除いて、訪問リハビリステーションとして独立することはできません。
リハビリを提供する際には〝訪問リハビリ計画書〟〝訪問リハビリ指示書〟に基づいてにサービスを提供します。
〝訪問看護ステーションは、開設に必要な人員や施設の基準を満たしていれば、誰でも独立して運営することができます。〝訪問看護計画書〟〝訪問看護指示書〟に基づいてサービスを提供しています。
どちらに所属しても、理学療法士や作業療法士として行うリハビリの内容には違いはありません。一方で、リハビリを提供した際の診療報酬には違いがあるのがおもしろいところです。
訪問看護ステーションが築いた一時代
訪問リハビリに専従者として身を置くためには〝訪問看護ステーション〟に勤務することが当たり前でした。病院や保健施設から出向く〝訪問リハビリステーション〟では、一定期間で人事異動が生じてしまう可能性があるためです。
また、訪問看護ステーションの魅力は、管理者に看護師を置く必要がありますが、社長や所長は療法士やケアマネジャーでも務めることができます。そのため、病院から独立して会社経営に挑む療法士が多く現れるようになりました。
こうした背景から〝自由に稼げる仕事〟として訪問看護ステーションを開設する人が増え、多くの療法士がそこで働くようになりました。
多くの事業所で、看護師は人員確保のため好待遇で雇い、多くの療法士たちが汗を流して働くというビジネスモデルが確立しています。
どうして診療報酬が逆転したのか
訪問看護のカテゴリーでリハビリが稼働しすぎた結果、介護保険の支出に占めるリハビリの割合が増加したため、改定がある度に診療報酬は下がり続けているのが現状です。
訪問看護ステーションでみても、看護師の診療報酬が上方修正されている一方でリハビリは改定のたびに下方酬修正ています。
反面〝訪問リハビリステーション〟における診療報酬はベースアップで見直されており、昨年の改正で訪問看護より訪問リハのリハビリが上回ってしまいました。
訪問看護ステーションのビジネスモデルは、長く続きませんよというメッセージなのかも知れません。
訪問で仕事をするリハビリ職の行く末
セラピストだけで事業所を立ち上げ、訪問リハビリのみを提供するステーションが作れるようになればよいのですが、現状はどうでしょうか。
実際に訪問看護ステーションのように病院やクリニックに属さない、独立した訪問リハビリステーションが開設できるようになることも選択肢のひとつとして言われるようになってきました。ただ、現状ではハードルはかなり高いと思われます。
実現が難しい表だった理由はいくつかあげられますが、根底には職種間の縄張り争いがあるとも言われています。
じわじわと訪問看護ステーションからの締め出しを受け、働きにくさが垣間見られるようになった時期だからこそ、早めの選択で働き方を考えてみてもよいのではないでしょうか。
まとめ
訪問看護ステーションのリハビリは、
1、介護保険改定の度に、診療報酬は引き下げられている。
2、訪問リハビリのほうが診療報酬が高くなった。
3、訪問看護ステーションにおける存在感は薄くなるばかり。
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