介護保険はだれのもの
在宅で介護保険を活用するにあたって、欠かせない存在が〝ケアマネジャー〟です。介護支援専門員ともいいますが、療法士の免許を取得して5年以上働いていれば、誰でも受験をして所得できる資格です。
ケアマネジャーの仕事は多岐にわたり、ケアプランの作成から医師や看護、リハビリなど各種サービスの調整、福祉用具の選定までやってくれる方もいます。
そんな頼れるケアマネジャーさんですが、なかには個性が強く利用者さんや周囲のスタッフを振り回すタイプの方もいたり、人相手の仕事故の難しさを感じることも珍しくありません。
ケアマネジャーの個性が垣間見れる出来事をもとに、うまく関わるためのポイントをまとめてみました。
憑依型のケアマネジャー
訪問リハビリを中心にサービスを利用されていた方に対し、ケアマネジャーさんから月に一度、連絡が入る時期がありました。月一回の定期訪問をした際の報告です。
その内容は〝屋内歩行練習をやってもらいたい〟〝同じプログラムではなく変化を持たせて欲しい〟〝歩行車を使えるようにしてほしい〟といった具体的な内容でした。
担当のケアマネジャー曰く、訪問時に利用者さんが打ち明けてくれた内容ということで連絡があったので、翌週の訪問で確認してみることに。
普段から要望があれば遠慮なく伝えるタイプの利用者さんだったので、真意を伺ってみると全てケアマネジャーの意向だったのです。
〝屋内歩行もやったほうがいいわよね?〟〝違うプログラムでやってもらったほうがいいわよね?〟といった具合に、ケアマネジャーのリハに対する意向が、利用者さんの本音という体で伝えられていたのでした。
リハビリを辞めさたかったケアマネジャー
サービス開始当初、ベッド上で寝たきりに近い状態だった利用者さんが、少しずつ回復されてADLが向上された頃合いをみて、サービス内容の見直しが実施されました。
利用者さんとしては訪問リハビリを続けたかったようですが、ケアマネジャーさんは活動の機会をデイサービスに移すべく、次週から訪問リハビリは終了することを伝えれました。
しかし、それに起こったのが利用者さんでした、利用者さん自身は訪問リハビリの継続を希望されており、決まり掛けていたデイサービスの利用をドタキャンしてしまいました。
これに伴い訪問リハビリは再開されることになったのですが、ケアマネジャーの意向に添えない形になってしまったため、週に3回あった訪問も、少しずつ減らされていくことになってしまいました。
ケアマネジャーの個性を見極めて接してみる
理学療法士や作業療法士として病院で働いている間は、ケアマネジャーと接する機会は退院間近に情報共有をする程度ではないでしょうか。
地域で仕事をするようになってわかったことのひとつに、ケアマネジャーによって支援の方針にも個性や傾向がある点でした。
理学療法士や作業療法士の使い方に強いこだわりを持っている方もいれば、リハビリといえば理学療法士しかできないと思っている方。リハビリの代わりにマッサージを代用したい方。
また、福祉用具の選定や家屋改修の機会に携わらせてくれる方もいれば、ケアマネジャーの意向に沿った福祉用用具を使うよう求めてくる方もいます。
ケアマネジメントの役割を担っていただければよいのですが、それらがリハビリを遂行する上で時には弊害になってしまうこともあります。なかにはケアマネジャーに物申すタイプの療法士もいますが、結果的によい方向に転ぶ確率は低いのが現状です。意固地にならず、折れたフリをするのが賢い選択だと思います。
療法士としての信念は保ちつつ、一緒に仕事をしてみて違和感を感じるタイプの方だと思った時点で少し距離をとって関わってみるのも手段のひとつかも知れません。
まとめ
ケアマネジャーとうまく接するために必要なポイントは、
① 利用者さんが第一です。療法士は出しゃばり過ぎず、ケアマネジャーを立てる、
② 職域やサービス内容の理解には個人差があることを知っておく。
③ 方向性に違いを感じた時は、少し距離をとって冷静に行動してみる。
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