死生観とリハビリテーションについて

気づいたこと

訪問だからこそ直面できる利用者さんの〝生き方〟

リハビリでお会いする方の中には、数ヶ月で今まで通りの生活に戻られる方もいれば、少しずつ状態が悪化してく方もいます。

最近では、いわゆる〝難病〟といわれる疾患でも、しっかりと告知がされていればその予後、余命までインターネットで簡単に調べることができる時代になっています。その分だけ、自分に残された時間をどのように使っていくべきか、そんな話を聞きながらリハビリをすることもあったりします。

ちなみに死生観というのは〝生きること、死ぬことに対する考え方〟のことで、その判断や行動に対する考え方なども含まれます。

延命治療っていいこと?

私が研修会で講義を受けた内容の中に〝スパゲティー症候群(シンドローム)〟というテーマを取り上げている回がありました。この言葉は、輸血ルートや導尿バルン、動脈ラインから気道チューブなど、様々な医療機器が取り付けられた状態を指す言葉です。

延命治療については賛否両論あるのはすでにご存知かと思いますが、立場が違えば意見も変わると思うので、正しいか正しくないかでは判断できません。

延命治療を行う際にこうした状態がみられ、生きているというよりも〝生かされている〟という表現が適しているという見方もされています。

リハビリでお伺いする利用者さんの考えとして、延命処置はしてほしくないというのが本音のようですが、実際に意識がない状態でも家族の希望によって〝生かされてしまう〟ことを心配する方もいます。

みなさんが口を揃えて言う理想の最期は〝ピンピンコロリ〟が圧倒的に多かったです。

延命治療をして生きるくらいであれば、コロリと逝ってしまいたいという考えは、最期くらいは家族に迷惑を掛けたくないという思いの現れなんだと思います。これも死に対する考え方なんだと思います。

禁酒や禁煙は誰のためか

看護師さんがよく遭遇するトラブルに、お酒やタバコに関するやりとりが挙げられます。

病状によって禁酒や禁煙が望ましい患者さんに対して、どのように接していくことがよいのでしょうか。禁酒や禁煙をやってまで得られる余命は充実したものと言えるのでしょうか。

楽しみにしてきた〝食後の一服〟や〝寝る前の一杯〟を取り上げてまで長生きすることが本当によいことなのでしょうか。

これにも様々な考え方があると思いますが、辞めたい患者さんには協力すればよいと思いますが、続けたいという患者さんには無理に取り上げることなく〝上手に付き合うコツ〟を伝えていくことも選択肢のひとつだと思います。

どうせ完治しないなら

私が出会った利用者さんの中に、癌を患って食事制限を課せられている方がいました。その方は病前から食事とお酒を楽しみに生きていたため、食事制限がともてストレスとなっていると聞かされていました。

そんなある日〝予後が限られているのであれば、我慢しないで好きなものを食べちゃおうかな〟という話をされたのが印象的でした。

長生きをしてもらいたいと思う一方で、現状に向き合っている利用者さんが出した〝好きなように食べたい〟という考えも尊重したいという思いもあったので、どんな言葉を返せば良いか迷ってしまいました。

正しい受け答え方なんていうのは存在しないと思いますが、利用者さんの死生観に対する考え方についてはしっかりと尊重していくべきなんだと思う出来事でした。

まとめ

死生観について利用者さんが話してくれたことは、

① 家族に迷惑を掛けてまで長生きしたくない。

② 長年の楽しみを奪って得た余命に価値を見出すのは難しい。

③ 健康寿命を伸ばすためにリハビリは大事。

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