資格があれば何でもできる?
美容師や調理師の場合、免許を取得して就職が決まると、数年は見習い期間と称してまともな業務に就く機会は与えられません。
美容師の場合は先輩のアシスタントやシャンプー要因として、調理師は洗い物や仕込みなどの作業から始まります。
一方で、我らが理学療法士や作業療法士は、国家試験に合格してしまえば、キャリアに関係なく同じ額の診療報酬を得ることができます。1〜2ヶ月もすれば、あっという間に独り立ちをすることができ、自分の思うままにリハビリを実施することができるのです。
建前上は〝臨床実習で即戦力となる経験を積んだ〟ことにはなっていますが、近年の臨床実習では、合否の判断は学校に委ねられていることを踏まえると、おおよその察しがついてしまうのが悲しいところです。
勝手に歩行練習をしないで
私が病院で仕事をしていたころ、新人の作業療法士が参加するカンファレンスに同行する機会がありました。同じ患者を担当していた理学療法士も新人さんだったのですが、カンファレンスが進むにつれて意外な発言が飛び出しました。
〝病棟で勝手に歩行練習をしないでください〟
こう発したのは新人の理学療法士さんです。病棟の看護師さんが歩行練習を実施していたことを知り、物申してしまいました。理学療法士さん曰く、PT中に整えている歩容が乱れてしまうため患者に触れないで欲しいというものでした。
カンファレンスが終わり、理学療法士さんが去った後、看護師さんはご立腹。〝患者はあんたの作品じゃないに〟という名言が飛び出していました。
病院では他職種がチームでサポートをしています。新人の理学療法士とはいえ、こうした考えでリハビリをしているようでは先が思いやられてしまいます。
自分の都合で働く療法士
訪問リハビリの領域でも、独特の立ち振る舞いから利用者さんとのトラブルが絶えない療法士も多く存在しています。
ある療法士は、利用者さんが希望する時間に訪問することができるのにも関わらず、自分の都合で訪問日を変えてしまいトラブルを起こしていました。
その利用者さんのクレームから事態が発覚したのですが、〝リハビリを受けられなくなってもいいんですか?〟というパワーワードで交渉を進めていたようです。
療法士としてのスキルや社会経験の程度とは異なり、ここまでの発言が飛び出してしまうのは、もはや別の部分に問題を抱えているのかも知れません。
職場を放棄して帰ってしまう
以前に勤務していた職場で訪問リハビリに出向いた療法士が、なにもせずに帰ってしまったという旨のクレームが入りました。
事情を確認すると、訪問した際に利用者さんが失禁をしていたため、リハビリの実施ができないと判断をして帰ってきたとのことでした。ちなみに日中は独居のため、夕方にご家族が帰ってくるまでそのままだったようです。
〝リハビリができる万全な状況が整っていなければ実施しない〟という考えはどのように培ったのかは謎ですが、訪問リハビリの領域で仕事をするにはあまりにも不適切な対応だったなと思うできごとでした。
人としてプロであれ
私が作業療法士になりたてのころ、どこかの研修会でえらい作業療法士の方が言っていた言葉です。当時はあまりピンときていませんでしたが、今では何となく意味が理解できるようになりました。
〝療法士〟という仕事は、知識や技術を持ち合わせるのはもちろんですが、人と向き合って仕事をしている自覚を持つことが大切だと思います。
病気や参考書とばかり向き合っていると、大事な部分を見落としてしまうように思います。
まとめ
療法士としてあるべき姿は、
① チームの一員として役割を担っている意識を持つこと
② リハビリの知識や技術を振りかざさずに使用する
③ 結局は〝ひと対ひと〟の関わりが大切になる
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