療法士目線で見た老後に住みたい家とは?

訪問リハのこと

住みやすい家の条件とは

長い期間訪問リハビリの仕事に従事していると、様々な経験をすることができます。中でも訪問リハビリの特権は〝たくさんの家がみれる〟ことだと思います。

利用者さんの数だけ家があり、そこで生活している様子から、自分自身だったらどんな家に住んでみたいか考える療法士も多いのではないでしょうか。

住環境コーディネーター2級を受験した時に学んだ地域を生かし、療法士目線でみた住みやすい家の条件についてまとめてみました。

階段が一番の敵

マンションやアパート、団地にお住まいのお宅に訪問すると、希にエレベーターが設置されていない物件に遭遇することがあります。特に5階建程までの高さであれば、エレベーターが設置されていない確率はかなり高い感じがします。こうした環境は外出機会が減ってしまう大きな要因となっています。

階段昇降が自立されている方であれば問題はなりませんが、杖や歩行器、車椅子を利用されている方には大きな問題となります。特に車椅子、歩行車を用いて階段昇降を実施するには、必ず介助者の支援を要することになります。

介護サービスとはいえ、外出する際に誰かの手を借りることにストレスを感じてしまうのが心情ではないでしょうか。

将来、一軒家やマンションを購入するのであればエレベーターやスロープなど、階段を回避できる動線があるか確認していく必要があると思います。

老後の自分が寿命が尽きるまで元気でいることができればよいのですが、そうとは限りません。一戸建てやマンションに限らず、二階以上の建物で生活するのであれば、エレベーターは必要不可欠となります。

居住スペースは一階に設ける

一軒家に住むのであれば、自分の生活スペースは一階に設置した方がよいと思います。

二階に居住スペースがあると、一人で階段昇降ができなくなった時点で生活の幅はかなり限られてしまう可能性が高くなってしまいます。

階段昇降機を設置する手段もありますが、同居する家族が階段を利用する時に邪魔になってしまったり、最低でも座位保持をできる身体能力が必要条件となります、

また、介護用ベッドや訪問入浴サービスを利用場合、機材を搬入する手間を踏まえると、やはり一階で生活していた方がよいと思います。

また、万が一玄関からの出入りが難しい場合には、縁側にスロープを設置して直接自室に入る方法を選択している利用者さんもいました。

間取りはコンパクトに

老後は広い一軒家からマンションに引っ越しをする方が増えているというニュースを聞いたことがあります。

背景として、広い一軒家を維持するための体力がなくなってしまったこと、窓の多さ、訪問販売など防犯上の対策に不安を感じることなどが理由となっているようです。

また、集合住宅に住む利用者さんの話では、隣人とコミュニケーションをとっておくことで、調子が悪くなった時に助けを求めることができることが安心感に繋がっているようです。

個人的には、生活上の動線がコンパクトになることが大きな魅力だと思います。〝狭い=コンパクト〟ということではなく、あくまで生活しやすいように住環境が整備されていることが住みやすい家の条件だと思います。

サービス付き高齢者住宅という選択肢

サービス付き高齢者住宅では、基本的に外出は自由で、お風呂や食事も自分の好きなように利用することができます。また、有料法人ホームとは異なり、初期費用が安く抑えられることも大きなメリットとなります。

実際にサービス付き高齢者住宅で暮らす利用者さんのところへリハビリに伺っていますが、印象としてはピンキリな感じがします。

というのも、常駐するスタッフの対応が施設によってばらつきがある点が気になりました。挨拶や言葉遣いといった接遇マナーが至らないスタッフに遭遇すると、なんともいたたまれない気持ちになってしまいます。

一方でトレーニングルームがあったり、食事処がレストランのように豪華な作りだったり、大浴場や床屋さん、シアタールールなど豪華な設備がある施設はとても魅力的です。

私自身の老後をイメージした時、金銭的に余裕があればこうした暮らしも選択肢に入れていきたいと考えています。

まとめ

療法士の視点でみる住みやすい住環境とは

① 階段や段差を避けることができる住環境

② 一軒家なら迷わず一階に居室を設ける

③ 生活空間のコンパクト化はこれからも進んでいく

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