利用者さんの家族から聞く話
私が訪問リハビリの分野で仕事をする際に気をつけていることのひとつに〝家族とのコミュニケーション〟があります。
同居しているご家族がいる利用者さんにとって、在宅生活が継続できるか否かは〝ご家族の介護力〟にかかっていると言っても過言ではありません。
そのため、リハビリの前後にご家族とコミュニケーションを取るように心がけていますが、話を聞いているだけけでも〝介護の大変さ〟が伝わってきます。
特に利用者さんが高齢であるほど介護をされるご家族の年齢も高くなってくるため、70〜80代のご家族が介護で体を悪くしてしまう方もケースにも遭遇することがあります。
そこで今回は、ご家族が抱える介護問題、実際にやってみて実感する介護の大変さについて、相談を受けた話や事例をもとにまとめてみました。
介護者が抱える悩みやストレスの原因
平成28年の厚生労働省の国民生活基礎調査(介護の状況)では、介護をしている方の約7割がなんらかの悩みやストレスを抱えているというアンケート結果が出ています。
その原因について詳しくみてみると、一番の悩みは〝認知症への対応〟です、
私自身がリハビリで伺う利用者さんの中にも認知症の診断こそついていないものの、少しずつ認知機能が低下していく中でご家族の介護負担が増えてしまうケースもあります。
続いて二番目に多い悩みは〝外出の付き添いや送迎〟です。これも介護負担の中で大きな割合を占めています。
外出の主な理由は〝病院の受診〟となっており、毎月一回の定期受診に加え、歯科、眼科、皮膚科などの不定期な受診機会が合わさることで大きな負担となっています。
三番目に多い悩みは〝夜間の排泄〟です。排泄の介護は、肉体的にも精神的にも介護負担が多い生活動作のひとつです。
特に介助量が多い方では、ベッドからの起き上がり、トイレやポータブルトイレまでの移譲、下着の上げ下ろしまで一連の介助をトイレの回数だけ行う必要があります。
また、直接的な介護を必要としない方でも〝見守り〟による介護時間は変わらないことも、介護に対する悩みの要因となっているのではないでしょうか。
要介護度と介護時間の関係性
要介護度が高いほど介護に要する悩みも増えてきますが、実際に要介護度と介護時間についても厚生労働省からデータが発表されていました。
先ほどと同じく、平成28年度の国民生活基礎調査(介護の状況)によると、要介護度と介護時間にも密接な関係があるようです。
要支援1の方を介護している家族の場合、1日に介護に割く時間を〝2〜3時間程度〟と回答している方が6割を占めています。
一方、要介護5の方を介護している方の場合、1日に介護に割く時間を〝ほぼ終日〟と答えた方が5割以上を占めていました。
アンケート結果からもわかるように、要介護度の高さと介護負担は比例関係にあることがわかります。
利用者さんの家族から相談を受けたら
実際に訪問リハビリを利用されている方の家族から介護についての相談を受けた場合、どのように対応していけばよいのでしょうか。
私の場合は、身体的な介護負担の相談事であれば介護方法の提案や実際にリハビリしている場面に同席してもらうようにしています。
また、介護疲れやストレスなどの精神的あN相談ごとについては、しっかりと傾聴するとともに〝レスパイトケア〟の重要性を伝えるようにしています。
〝レスパイト〟とは介護の一時休止のことで、介護疲れや介護負担の軽減を図るためにショートスティや入院することができる仕組みのことです。
私が訪問先で受ける相談内容は〝先のみえない介護生活〟や〝認知機能の低下による介護負担の増加〟が多く、精神的なケアが必要なご家族が多い印象を受けます。
まとめ
利用者さんのご家族が抱える介護負担についてしらべてみた結果、
⑴介護をしている人の約7割がなんらかの悩みやストレスを抱えている。
⑵介護に関する悩みの原因は認知症の対応、外出の援助、夜間の排泄が多かった。
⑶介護度が高いほど介護に費やす時間も長く、要介護5では半数以上が終日を費やしていた。
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