整形疾患と訪問リハビリテーション

訪問リハのこと

訪問リハビリと整形疾患

訪問リハビリの分野では、作業療法士や理学療法士の働き分けというもはが明確に示されていません。

例えば病院で指示されるリハビリテーションの処方箋には、理学療法、作業療法、言語療法のそれぞれにどんな内容のリハビリを行うか記されています。

一方の訪問リハビリ(訪問看護ステーション)の指示書には、リハビリの必要性こそ明記されていますが、医師から〝理学療法が必要です〟という指示はほとんど出されません。

利用者さんやご家族が希望する場合や、担当のケアマネジャーさんの意向によって指名される場合にはその意向に沿う形で担当者がきまります。

こうした背景もあり、作業療法士でも大腿骨頸部骨折のリハビリを担当することもあれば、理学療法士が上肢骨折のリハビリを行うことも珍しくありません。

そこで今回は、訪問リハビリで行う整形疾患のリハビリテーションで特徴的なポイントについてまとめてみました。

情報量の少なさ

訪問リハビリで整形疾患のリハビリを行う際にポイントに〝情報量の少なさ〟が挙げられると思います。

特に骨折後の入院で行っていたリハビリテーションの内容と経過、自諾でリハビリを行う際の注意点、禁忌事項はほしい情報だと思います。

訪問看護の指示書には、骨折部位、可動域制限の箇所程度しか記されていないことが多く不足している情報は自分で収集する必要があります。

まずは利用者さん、または同席されているご家族から当時のご様子や入院中の経過について伺っていきます。

その際、退院サマリーやレントゲンのコピーを拝見できることもあります。また、必要な情報については直接主治医に連絡をして確認を取るようにしています。

介入頻度の少なさ

整形疾患のリハビリテーションでは、運動機会を継続して維持することが大切になります。

特に関節拘縮や筋肉の短縮による関節可動域制限がある場合には、訪問リハビリで一週間に一度、一時間だけの介入では限界があります。

そのため、訪問リハビリで介入する時間にやっておいたほうがよいこと、利用者さんに自主練習でやってもらうことを明確にしておく必要があります。

専門的な技術やリスクが高いリハビリ内容については訪問リハビリで行い、安定して行える反復練習については利用者さんに実施してもらいます。

自主練習を実施してもらう際には、イラストを交えたわかりやすい練習メニューを作成して〝質の高い自主練習〟を実施できるようにサポートしていきます。

交通事故による受傷では

訪問看護ステーションに来る依頼の中で、まれに受傷理由が〝交通事故〟による骨折というケースがあります。

これは私が先日遭遇したケースなのですが、交通事故の場合は介護保険によるサービスが手適応されないことを知りました。

交通事故によるケガを治療する場合、基本的に保険を使うことができず全額自己負担により実施することになります。

そのため、訪問リハビリで発生した料金は全額保険会社が負担することになり、報告書の発送先もケアマネジャーではなく保険会社宛に作成します。

整形疾患のゴール設定

整形疾患のリハビリでは、他の疾患に比べるとゴールが明確になるかと思います。

関節可動域制限や筋力低下の改善、生活動作がいつも通り行えるようになれば終了の目安となります。

また、必ずしも元通りの身体機能、日常生活のレベルに達することが難しい場合でも、利用者さんが訪問リハビリを必要としない状況であれば終了する方向で話が進むと思います。

まとめ

訪問における整形疾患のリハビリテーションでは、

⑴情報量が少ないため、退院サマリーや主治医の意見など必要な情報は自分で集める。

⑵介入頻度が限られるため、介入する時間を有効活用する。

⑶整形疾患のゴール設定は、利用者さんがリハビリを必要としなくなった時が目安。

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