訪問リハビリに求められる傾聴力

訪問リハのこと

話を聞くこともリハビリサービスのひとう

訪問看護ステーションに勤務をしていると、少し変わった理由で看護やリハビリテーションの依頼を受けることがあります。

先日もケアマネジャーさんから頂いた依頼のなかで〝しっかりと話を聞いてくれる人〟に担当してもらいたいという条件が提示されていました。

経緯を確認してみると、今まで利用していた訪問看護ステーションの担当スタッフに対して不信感を持っており、私が勤務しているステーションに打診したそうです。

そこで今回は、訪問リハビリで利用者さんと関係性を築くために必要な〝傾聴力〟についてどのように対応していけばよいかをまとめてみました。

傾聴について

ビジネス基本用語集の解説によると、傾聴とはもともとはカウンセリングで使用されるコミュニケーション技術のひとつで、相手を理解する目的で使用される手段とされています。

これにより、対象者が自分自身を理解して適切な行動がとれるようにサポートしていくのですが、その上で以下の点がポイントとして挙げられます。

・言葉でのメッセージに最後まで耳を傾けて理解する

・姿勢、しぐさ、声のトーン、表情など言葉以外の言動に注意する

・言葉の背景にある感情を受け止めて理解する

ただ話を聞いているだけではなくそこから様々な情報を引き出したり、信頼関係を築くまでが〝傾聴〟に含まれていることを考えると、セラピストには欠かせないスキルかもしれません。

態度と姿勢から話やすい雰囲気を作る

利用者さんと会話をする中で大切なことは、話の内容に興味がありしっかり聞こうとする意思を示すための〝態度〟と〝しぐさ〟が重要といわれています。

会話をする時は利用者さんの方に体を向け、顔や目を見ながら少し前のめりくらいの姿勢で話を聞くようにします。

また、座る位置も重要で、利用者さんの正面よりも横に座ったほうが威圧感を与えることなくコミュニケーションを図ることができます。

ちなみに私も癖でやりがちなのですが、会話中に腕組みをしていると無意識に距離感が生まれてしまうため注意が必要です。

私が新人研修で受けた講義の中に、コミュニケーションについて考える時間がありました。意図的に無関心な立ち振る舞いをする相手に自己紹介をするというオリエンテーションです。

実際にやってみると、無関心な相手に話しかけるほど不愉快なことはないと実感させられる研修でした。

聞いた話を整理してまとめてみる

傾聴のテクニックのひとつに〝パラスレーズ〟という手法があります。利用者さんの話にある程度区切りがついた段階で、話の内容を整理して共有するようにします。

こうすることで利用者さんとの話し合いの内容をすり合わせると同時に〝しっかりと話を聞いて共感してくれている〟という安心感を持ってもらうことができます。

また、話をまとめることで利用者さんが話した内容を客観的に聴き直すことができるため、利用者さん自身で〝気づき〟を促すこともできるようになります。

特に訪問リハビリで伺っている事情を踏まえると、利用者さんの気持ちにいかに寄り添えるかでその後の関係性は多く変化していきます。

テクニックとしての〝傾聴〟だけでなく、自然と寄り添って話を聞けるようになればセラピストとして一歩抜きに出た存在になるかもしれません。

まとめ

訪問リハビリで重要な傾聴力とは、

⑴自宅で行うリハビリだからこそ、まずは利用者さんが話やすい雰囲気を作る。

⑵話の内容を整理して伝えることで、利用者さん自身の〝気づき〟を促すことができる。

⑶小手先だけのテクニックではなく、しっかりと寄り添って話を聞ける人になる。

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