訪問リハビリはアウェイの環境
リハビリ病院から訪問看護ステーションに転職をして、訪問リハビリの難しさを実感したことのひとつに〝来訪者としての立ち振る舞い〟があります。
病院では病院のルールに則ってリハビリを提供していたため、患者さんがお客さん、セラピストが迎え入れる側の立ち位置でした。
食事や入浴の時間など生活リズムを決める権利は病院にあり、患者さんがそれに合わせてくれているという状況でした。
しかし、訪問リハビリになると立場は逆転してしまいます。私たちがお客さんで、利用者さんが迎え入れてくれる形になります。
利用者さんや家族が決めたルールが家の中に存在しており、私たちセラピストもそのルールに従い、ビジネスマナーを駆使して失礼の内容に立ち振る舞う必要があります。
そこで今回は、訪問リハビリを始める前に知っておきたい〝来訪者としてのマナー〟についてまとめてみました。
玄関周囲の立ち振る舞い
まずはインターフォンを押す前に身だしなみを整えます。また、カッパや厚手のアウターは事前に脱いでおくことを忘れないようにします。
この時、インターフォン越しに〝事業所の名前〟〝リハビリの山田です〟のように、利用しているサービスが推察されるような応答は避けたほうが無難です。
利用者さんによっては、近所の方にサービスの利用を知られたくないと思っている方もいるので、事前に確認をしておいたほうがよいと思います。
玄関の立ち振る舞い
靴を脱ぐ時は、しっかりと揃えて脱ぐようにしましょう。というのは前提として、脱ぎ方や揃え方にもコマ愛マナーが存在します。
靴を脱ぐ際は玄関から入ってそのままの位置で靴を脱ぎます。家に入ったら膝をついた姿勢で体を玄関の方へ向けて靴を揃えます。
これは、お家の人にお尻を向けないようにすることがマナーとされているためです。
ちなみに玄関にも上座と下座があり、下駄箱がある場合はそちらが上座になります。そのため靴を揃える方向は下座になるため、反対側の壁に剃って踵を揃えて靴を並べます。
調べてみると色々と細かいマナーがありますが、正直訪問リハビリの仕事をしていて靴の脱ぎ方でトラブルになった事例は一度もありません。靴を揃えて脱いでおけば問題ないと思います。
家の中を移動する時の立ち振る舞い
家のなかくらい自由に歩かせてほしいと思いますが、こちらにも些細なマナーがあるようです。
まずは和室を移動する際に〝畳の縁〟を踏まないように気をつけます。理由は諸説あるようですが、験担ぎや畳を傷めないなど諸説あるようです。
昔と違い今の畳は耐久性も高く、縁を踏んだくらいで劣化が進むとは考えにくいですが、マナーがある以上失礼がないように立ち振る舞うのが来客者の務めです。
利用者さんの中には、来客者のマナーをとても気にしている方もいたりするので、意識できるようであれば踏まないほうが無難だと思います。
また、リビングに写真や賞状・トロフィーなどが飾ってあるお宅が多いと思いますが、初回の訪問でジロジロと見るのはやめておいたほうが無難です。
私も利用者さんの人柄を知るためについつい目が向いてしまうのですが、利用者さんによっては不快に思う方もいるため注意が必要です。
寝室での立ち振る舞い
リハビリをする際、寝室でストレッチやリラクゼーションを実施する機会もあると思います。
ついつい当たり前のように寝室を使用してしまいがちですが、これも事前に確認を取ったほうがよいポイントになります。
寝室に他人を入れたくないという方もいるため〝リハビリはどこでやりますか?〟と利用者さんに都合のよいスペースで実施するように心がけます。
また、当たり前ですが寝室やベッドを借りてリハビリを実施した場合は、しっかりと布団を整頓しておくことを忘れずに行いましょう。
まとめ
訪問リハビリの来客者としてのマナーは、
⑴基本的なマナーは一通り知っておいたほうが無難に対応できる。
⑵あくまでルールは利用者さんにあるため、失礼がないように心がける。
⑶細かいマナーを気にする利用者さんに出会う機会はほとんどない。
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