在宅ではリハビリのモチベーションが上がりにくい理由

気づいたこと

病院にいる患者さんと家にいる利用者さんの違い

訪問リハビリで色々な利用者さんのお宅に伺っていると、リハビリに対するモチベーションが上がりにくい方が多いような印象を受けます。

訪問リハビリの利用を拒否されているわけではないのですが、利用者さん自身の生活リズムや活動範囲についてはなかなか変化が得られにくいようにも思います。

入院先の病院から頂く退院サマリーを拝見すると、リハビリに意欲的に取り組まれていた経過が記されていても在宅では一転してベッド上で寝たきりの生活をされていたりします。

そこで今回は、訪問リハビリでモチベーションが上がりにくい背景と対応策についてまとめてみました。

病院でリハビリを頑張る理由その①

私自身もリハビリ病院に勤務をしていた経験がありますが、やはり在宅に比べるとリハビリに意欲的な方が多かったように思います。

そこで病院で行うリハビリでは、取り組みに意欲的な人が多い背景について考えてみると、大きく二つの理由が考えられます。

ひとつめの理由は〝言うことを聞いていれば早く退院できる〟という思いが関係しています。

私が今まで病院で出会った患者さんの中で〝少しでも長く入院していたい〟という方は、特別な事情を抱えている人以外では会ったことがありません。

また、リハビリ病院では入院中に行うリハビリの成果次第で〝自宅〟に退院するか〝施設〟に入所するかの岐路に立たされている方が少なくありません。

病院でリハビリを頑張る理由その②

もうひとつは〝周囲の目〟があるからです。看護師、セラピスト、患者さんが常に周囲にいる環境では、リハビリに取り組む姿勢も自ずと積極的になります。

周囲の医療スタッフ、同室患者さんや家族から投げかけられる励ましの言葉は、リハビリを頑張る大きな原動力となっているのです。

家だとリハビリの意欲が湧きにくい理由

では、自宅で行うリハビリではどうして意欲が湧きにくいのでしょうか。

上記した病院にいる時の高いモチベーションと比較をした場合、自宅では病院とは〝真逆の環境〟にいるからだと思います。

まず、自宅で生活できている人が〝新たな目標を決めて取り組む〟という思いは湧きにくいと考えます。なぜなら、自宅は利用者さんが〝くつろぐ〟場所だからです。

病院では自宅に帰ることが目標となっていましたが、実際に退院してしまうとそこから先の目標はみつけにくいものです。

更に病院ではリハビリを頑張る姿をみてくれる〝周囲の目〟がありましたが、自宅では皆無か、いても家族くらいのものです。

私たちが喫茶店で勉強したりジムで筋トレをする理由の背景に〝周囲の目〟を無意識に感じ取って頑張るモチベーションにしていることと似ています。

在宅でリハビリのモチベーションを上げるには

在宅でリハビリに対する〝モチベーション〟を上手くコントロールしていくには、どのように介入したらよいのかいつも考えています。

まずは、在宅生活が継続できている点をしっかりと評価し、今まで自分が行っている生活動作をこれからも続けて取り組んでもらうという目標を立てるようにします。

特別に何かを頑張るのではなく、今できていることが維持できている素晴らしさを伝えるようにします。

次に大切なことは、目標に取り組む段階付けを細く設定して達成する旅にその都度新しい目標に調整してもらうようにしていくことです。

すでに回復期を経て自宅に戻られている利用者さんは、今まで通りリハビリを頑張ってもそこまで効果を実感しづらい時期にあると思います。

そんな〝維持期〟のリハビリテーションだらかこそ、利用者さん自身が行いたい生活スタイルに合わせて無理なく寄り添う形で支援していければよいのではないでしょうか。

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