在宅生活を継続してもらうために
訪問リハビリで伺う利用者さんのなかには、難病で寝たきりになっている方や終末期を迎える方のリハビリ依頼を受けることがあります。
病状の進行に伴い、少しずつ生活動作にも負担が掛かるようになってくると、それに伴って活動範囲も狭くなってしまいます。
そんな時、訪問リハビリを実施する場所は概ね〝ベッドサイド〟で行うことになります。
病院では当たり前のように行っていたベッドサイドリハビリですが、訪問リハビリで行う場合には少し注意が必要な場面も出てきます。
そこで今回は、在宅で行うベッドサイドリハビリの注意点についてまとめてました。
全身状態の把握に注意
まず一番はじめに注意が必要な点は〝利用者さんの体調〟をしっかりと把握することです。当たり前のことのように思いますが、在宅では一番注意が必要なポイントになります。
病院で行うベッドサイドリハビリでは、基本的に病棟の看護師さんが状態を把握してくれており、夜間から朝の状況を踏まえてリハビリが可能かどうか判断してくれます。
一方在宅では、体調はもちろんのこと、食事や睡眠状況、排便コントロールに至るまで詳細な情報を把握しているのはご家族です。
そのため、万が一リハビリ中にトラブルが発生してしまうと、看護師のような迅速な対応は難しいため注意が必要です。
訪問時に行うバイタルチェックと併せて、一週間のご様子や気になることなど、些細な情報でもしっかりと収集してからリハビリを行うように心掛けています。
電動ベッドの破損に注意
寝たきりの利用者さんの多くは、福祉用具で連絡しているスリーモーターの電動ベッドを導入されている方が多くいらっしゃいます。
この電動ベッドの取り扱いにも注意点があります。
まずは、膝部分のギャッチアップ機能です。ベッド上の座位保持で殿部がずり落ちないように使用する際はいいのですが、寝る時に少しだけ戻し忘れている場合があります。
その状態でセラピストがベッドに上がってしまうと、体重が掛かりすぎて膝裏の部分が壊れてしまうことがあります。
特に男性スタッフであれば80kg以上の方は要注意です。
自身の腰痛に注意
ベッドの調整でもうひとつ注意が必要な点があります。それは、ベッドの高さです。
下肢のストレッチや関節可動域練習を実施する場合は特に問題はないのですが、上肢や頸部のリラクゼーションを行う際には注意が必要です。
ベッドの高さが低い状態でリハビリを行なっていると、自分の腰を痛めてしまうケースが多くあります。そうならないためにもベッドをあげてよい姿勢で行うように気をつけます。
ちなみに、ベッドの高さを調整する際は周囲の物品に注意する必要があります。特にポータブルトイレやゴミ箱など、ベッドの高さ調整に巻き込まれやすい家具は事前に遠ざけておきます。
家族のケアに注意
最後は四六時中介護をされているご家族のケアです。
寝たきりの利用者さんを支えるご家族は配偶者の方がキーパーソンとなっているため、介護による身体的・精神的な疲労を溜め込んでいるケースがほとんどです。
そのため、リハビリ中にご家族から話を伺ったり、バイタルチェックを行うなどの間接的なアプローチも非常に有効です。
利用者さんの在宅生活が継続できるか否かはご家族に掛かっている部分も大きいため、介護負担の軽減に繋がる介入は疎かにできません。
まとめ
在宅で行うベッドサイドリハビリの注意点は
⑴まずは体調管理に気をつける。医者も看護師もいない環境はリスク管理が一番大事。
⑵電動ベッドの機能を上手く活用することで、自分の身体的な負担も軽減させる。
⑶利用者さんと同様にご家族のケアにも配慮してコミュニケーションを図る。
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