訪問リハビリの強い味方
訪問リハビリの分野で仕事をしていると、一度くらいは〝自主練習をやりたい〟という利用者さんと出会ったことがあるのでないでしょうか。
私が経験をした限りでは、一週間に1〜2時間しか関わる機会がない訪問リハビリでは、この自主練習が担う役割はとても大きな割合を占めていると思っています。
いくら腕のよいセラピストが介入をして身体のコンディションを万全に整えたとしても、それが何日も継続していくことは難しいのではないでしょうか。
それでも、自宅で少しでも自主的に運動を行える環境があると、利用者さんの生活場面によい影響を与えることができます。
そんな〝自主練習〟について、どんな形式でどのように提示をしたらよいか、少し整理してみました。
提供できる練習内容
自習練習として提示できる内容にはある程度の限りがあります。
できる内容としては、筋力練習、歩行練習などの動的なリハビリを中心に、転倒リスクや運動負荷が低く気軽に取り組めるものになります。
反対に提案しづらいものは、ストレッチやリラクゼーションなどの誰かの手を必要とする静的なリハビリが挙げられます。
ご家族を巻き込んでも大丈夫な家庭環境であれば問題ないとは思いますが、家族の方々がみな協力的かと言えばそうとは限りません。
ここまでの内容を踏まえて提示できる自主練習と言えば〝筋力トレーニング〟か〝バランスのトレーニング〟が中心となっていきます。
練習内容の提示方法
私が担当させてもらった利用者さんの中で、病院から自主練習メニューを作ってもらった方々のその後の取り組み具合を調べてみました。
すると、在宅で行う自主練習で一番大切なのは〝わかりやすさ〟だという結論に至りました。文字だけで練習内容や回数だけを表記したものでは、利用者さんはあまり取り組んでいませんでした。
反対に、イラストや写真を交えてわかりやすく制作されたメニューを渡されて退院された利用者さんの方が、自宅でもしっかりと自主練習に励んでいました。
また、人によっては専用のカレンダーを渡して取り組んだ日をチェックできるように工夫されている方もいました。これも利用者さんのやる気を掻き立てる効果が高い取り組みです。
映像や音楽を活用する
利用者さんの中には、リハビリ中に〝運動は誰かと一緒じゃないとやらない〟という方も多くいらっしゃいます。そんな時に活用できるのがテレビやラジオなどのメディアです。
テレビ局によっては、毎日決まった時間にリズムに合わせて行う体操を放映しているところもあります。しかも午前・午後の二回に分けてやっていて至れり尽くせりです。
また、ラジオ体操の音源を活用するのも効果的です。少し前の健康ブームの時には〝ラジオ体操は完璧な運動〟と注目された時期もあっただけに、そこ効果は折り紙つきです。
昔からの習慣で、音を聞くだけ自然と身体が動いてしまうという方も多いのではないでしょうか。
自分が提示した自習練習に乗り気がない人には、まずはテレビやラジオの体操に取り組んでもらうのもよい方法かもしれません。
最近はスマートフォンやパソコンの映像配信も充実してきているので、そこまで大変な準備をすることなく取り入れることが可能です。
まとめ
利用者さんに自主練習を提案する時は
⑴安全で簡単に、かつ継続して行えるものに絞って提供する。
⑵イラストや写真を交えてわかりやすい内容で表記する。
⑶テレビやラジオで放映されている運動機会を惜しみなく活用する。
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