訪問看護ステーションで災害対策が必要な理由
私がリハビリ病院に勤務していた頃、病院をあげて〝避難訓練〟というものを実施したことはありませんでした。入院している患者さんが数多くいるため、余計な混乱を避けるためにも実施していなかったのだと思います。
一方、病院を離れ訪問看護ステーションで勤務をするようになると、そこでは定期的に〝災害対策〟という形で避難訓練を実施していました。
なぜ訪問看護ステーションで災害対策が必要なのでしょうか。それは訪問看護ステーションでは、スタッフそれぞれが別々の場所で仕事をしているからです。
病院とは違い、患者さんもスタッフもばらばらで活動しています。そんな時に大きな地震が発生したらどのように対応したらよいのでしょうか。
携帯電話が使えなかったら?利用者さんと一緒に避難するの?寝たきりで動けない人はどうしたらよいの?といった疑問も生じてきます。
緊急事態に備え、それぞれのスタッフが冷静に行動できるよう訪問看護ステーションでは定期的に災害対策の研修会を実施しているのです。
災害が起きた時に取るべき行動
もし、リハビリの最中に大きな地震が発生したらどのように対応したらよいのでしょうか?
まず第一に優先するのは〝自分の身の安全〟になります。利用者さんを差し置いて罪悪感を感じるかもしれませんが、揺れが落ち着くまでは心を鬼にして自身の安全を確保に努めてください。
次に利用者さんやご家族の安全を確保します。移動できる状況であれば上からにも崩れ落ちてこない広場まで移動します。
万が一ケガをした人がいたり、スタッフひとりでの対応が難しい状況であれば事業所に助けを要請するようにしてください。
もしも携帯電話が使用できなかったら
地震の時に携帯電話やLINEは使えたでしょうか。
実際に大地震が起きた2011年の場合、大手3社の携帯電話でも繋がりにくい状況が発生しました。一度に大勢の人が利用したことも原因のようです。
また、今は誰もが使用しているLINEアプリも、当時は普及していなかったので災害時に使用できるかはわかりません。
そんな事態でも〝災害伝言ダイヤル〟と〝災害伝言板〟を活用することができます。
災害伝言ダイヤルとは、共通の電話番号(例えば会社の電話番号)に紐付けして、伝言メッセージを残すことができます。電話番号がわかれば、そこに残された伝言を聞くことができます。言葉で伝えることができるため緊急時の状況を伝える場合に適しています。
災害伝言板とは、同じく電話番号に紐付けをして、文字でメッセージを残すことができるサービスです。文字で確認できる分、会社の指示など情報を正確に伝える場合に重宝します。
どちらも携帯電話が手元にあれば使用できるサービスというこもあり、訪問環濠ステーションで使用方法を練習しておくと本番でも慌てることなく使うことができます。
利用者さんの救援活動を行う時の優先度
訪問看護サービスを利用されている方の安否確認を行う必要があります。基本的には担当のケアマネジャーさんが把握すべき情報です。
ただ、呼吸器や吸引が必要な方など、直接生命に関わる場合では看護師さんの方が手広くカバーすることができます。
いざという時にどの利用者さんから優先して救助に向かえばよいかを把握できるよう、カルテをテープやシールで色分けしておくとよいようです。
緊急性の高い利用者さんから赤⇨黄色⇨青といった順番で識別しておくことで、災害時に慌てることなく救助に向かうことができます。
備えあれば憂なし
災害対策は始めるまでにマニュアルなどの資料作成に時間を要してしまいますが、一度完成してしまえば定期的に社内研修を行うだけで済みます。
また、自治体や都道府県ごと、あるいは各協会でも定期的に研修会が開催されているかと思います。万が一が明日来るかも知れませんので、一度は参加してみてもよいかも知れません。
まとめ
訪問看護ステーションの災害対策で大切なことは
⑴災害時は自分の身の安全を優先する。
⑵連絡手段として災害伝言ダイヤルと災害伝言板を使えるように練習しておく。
⑶救助に行く時の優先度も事前に確認しておくと助かる命も増える。
コメント