望まれないリハビリテーション

気づいたこと

訪問リハビリで一番残念な終わり方

訪問リハビリの分野で仕事をしていると、まれに残念な事情ででリハビリが終了してしまうケースが存在します。

それが〝望まれないリハビリ〟を提供してしまうパターンです。病院ではリハビリを目的に入院してくる患者さんが多いのでそこまで大きなトラブルになることはありませんが、訪問リハビリではそうはいきません。

在宅で利用するサービスの多くは、自ら利用を希望して受けるサービスです。数ある在宅サービスの中でも、訪問看護や訪問介護などのサービスについては必要性が明確になっていることが多いと思います。

とりわけ〝訪問リハビリ〟に関しては、必要性がみえにくい分、利用者さん自身が意欲ややりがいをもって取り組んでもらわなければ円滑に進まないサービスと言えるのではないでしょうか。

せっかく始まった訪問リハビリでも、よかれと思って行っていたことが利用者さんにとっては〝いい迷惑〟だったとしたら、これほど残念なことはありません。

そこで、過去に私がやらかしてしまった失敗談を交えてご紹介します。

ある提案が活動意欲を低下させてしまった

ベッド上で過ごす時間が多い利用者さんに、私と理学療法士の同僚で介入させてもらっていました。積極的なリハビリは希望されていないご様子だったので、まずは離床を促すアプローチから行っていきました。

こんな時は作業療法士の腕の見せ所です。関係性を築く中で水彩画が趣味であることがわかり、絵手紙を書いてみなか提案してみました。

すると利用者さんの反応が思ったよりもよく、ベッドから離床してリビングで作業活動に取り組む時間が増えていきました。

この様子を見た同僚の理学療法士が〝立位で絵手紙を書いてもらえばよいのでは〟という提案がありました。趣味の活動時間に下肢の禁漁も鍛えられて一石二鳥だという考えのようです。

実際に立位で絵手紙をやってもらった結果、利用者さんは〝絵手紙を書くことが楽しくない〟という理由からその作業をやらなくなってしまいました。

それどころか、その一ヶ月後には訪問リハビリにも見切りをつけてサービスを終了してしまう事態となってしまいました。

歩行練習に固執してしまったセラピスト

歩行練習を希望する利用者さんから訪問リハビリの依頼を受けたことがありました、担当の理学療法士は利用者さんのために屋外歩行のコースを検討したり、距離や時間を調べるなどして熱心に接していました。

ある雨の日、利用者さんのお宅に伺うと〝今日は雨で足が痛む〟という相談を受けました。それでもそのセラピストは〝歩かないと体力が落ちてしまいますよ〟と歩行練習を結構しました。

雨で屋外には出られなかったので、自宅前の廊下を行ったり来たり30分間、きっちり実施したそうです。当然ですがその後この利用者さんからはクレームの連絡が入り、サービスは打ち切りとなってしまいました。

利用者さんが発信していた〝今日は屋外歩行はやりたくない〟というメッセージに気づかず、いつも通りに歩行練習を実施してしまったために起こった事態でした。

終了するタイミングを逃した結果

訪問リハビリを利用して二年が経過した利用者さんがいました。今思えば目標であった起居動作の自立、および屋内歩行が自立された時点で訪問サービスを終了するべきでした。

訪問リハビリの終了の目安については賛否両論あるとは思いますが、私が勤務をしていた訪問看護ステーションの方針は〝利用者さんからの申し出があるまで継続する〟という契約を結んでいました。

そのため、目標を達成したあともしばらく介入を続けていたある日、〝調子が悪いのでしばらく休みたい〟という連絡が入り、以降一ヶ月ほど連絡がない状態が続きました。

こちらから連絡をしてみると〝調子は戻っので大丈夫。リハビリも終了で構わない〟という意向が伝えられ、その時点で訪問リハビリは終了となりました。

二年間訪問させて頂いた利用者さんに対して、最後にしっかりとご挨拶したかったという思いと、目標達成した時点でこちらからサービス終了の提案をしておけばよかったと後悔が残る出来事でした。

まとめ

訪問リハビリを提供する時は

⑴できる事と必要とされている事のギャップを埋めていくことが大切。

⑵良かれと思った介入も利用者さんが望まなければ逆効果。

⑶勇気をもって終了の提案をすることで悔いの残らい介入を。

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