認定調査に挑む利用者さんの心構え

気づいたこと

介護保険の更新

在宅で行う訪問リハビリ(訪問看護)では、基本的に介護保険を使ってサービスを提供しています。

これは在宅で利用できるほとんどの介護保険サービスに適用されるため、ヘルパーさんやデイサービス、福祉用具の利用も含まれます。

なお、パーキンソン病や多発性硬化症など厚生労働大臣が定める20の疾病等に該当する場合は、訪問看護や訪問リハビリのサービスは医療保険を使用することになります。

すでにご存知かと思いますが、介護保険には医療保険とは異なる部分があります。要介護度の認定とそれに伴う〝介護保険の更新手続き〟です。

介護保険の認定を受けて半年から1年、最長でも2年に一度は〝認定調査〟というものが実施される決まりになっています。

この調査では、身体機能や生活状況、精神機能を踏まえて介護度を再調査するのですが、稀にある問題が生じることがあります。

それは、利用者さんの生活状況とは異なり、要介護度が大幅に軽くなってしまうというケースです。その結果、利用できるサービスが限られてしまったという利用者さんも多くいらっしゃいました。

実際に認定調査をしている場面を拝見できないものかと思っていた矢先、ある利用者さんの認定調査場面に同席させてもらう機会があったので、その時の様子を踏まえて考えてみました。

認定調査時で普段の様子は見せられない

認定調査員の方が来ると、利用者さんの表情は固くなり明らかに緊張しているご様子でした。

調査員の方が身体機能や生活状況について質問をしていくのですが、認知機能が低下されていた利用者さんは、まるでなにも困っていないかのような受け答えをしていました。

また、実際に生活動作を診てもらう場面でも、いつもは大変そうに行う動作もこの時に限っては軽々とこなしてしまいます。

私とご家族で調査員の方に普段の様子を伝えたのですが、普段とは違う様子をどの程度調査結果に反映してくれたかは認定結果が通知されるまでわかりません。

結局、要介護度が二つも軽くなってしまったため、結果的に利用できるサービスも調整しなければいけない事態となってしまいました。

利用者さんの心理

今回のケースや認定調査に携わっているケアマネジャーさんの情報を踏まえると、認定調査の時に限って〝状態を良くみせよう〟とされる方が多いことがわかりました。

その背景については、認定調査を受ける際の独特の〝緊張感〟に加え〝弱い部分を見せたくない〟〝調査員の人によいところを見せたい〟という心理が働いているのではないかと考えました。

認定調査の内容を事前に把握する

認定調査を行う際は、厚生労働省が作成したマニュアルに沿って実施されています。これはインターネットでだれでも閲覧できるようになっているので、一度目を通しておくと余裕を持って臨めると思います。

ただ、たった一回の認定調査で利用者さんの生活状況を正確に把握することは難しく、その時の一面を切り取って判断しなければいけない点を踏まえると、再認定の申請ができる制度があることにも納得がいきます。

認定調査がある当日には、その時の利用者さんの立ち振る舞いと合わせて、介護されているご家族の視点から普段の様子を伝えていくことも大切です。

もしかすると、利用者さんの身体機能や生活動作の介助料、認知機能などを一番詳しく把握しているのは担当のセラピストかもしれません。

利用者さんの生活状況を正確に伝えるためにも、認定調査に同席できる機会があれば参加してみると力になれることがあると思います。

まとめ

認定調査の時に注意しておくことは

⑴利用者さんは普段よりよい自分を見せようと張り切ってしまう方が多い。

⑵事前に認定調査の内容や認定基準を把握しておくと余裕を持って臨める。

⑶利用者さんの状況を客観的に伝えることができる一番の適任者は担当のセラピストかも。

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