長く自宅で暮らすために家族のケアが大切な理由

気づいたこと

なぜ家族のケアが必要なのか

訪問リハビリで出会う利用者さんの多くは、〝できることなら自宅で長く暮らしたい〟という思いの方がほとんどです。まれに自宅を出て施設への入所を希望される利用者さんもいますが、それは家族関係があまり良くないという事情が背景にあるようですが。

同居している家族がいる場合、その中の誰かがキーパーソンとしての役割を担うことになり、生活動作の介護や必要な行政手続きの援助などをしてくれます。

もし、利用者さんの家族が体調を崩して入院することになってしまったら、利用者さんの在宅生活はどうなってしまうでしょうか。生活動作が自立していれば大丈夫でしょうか。

生活動作が自立していても精神的な面で家族に依存している部分があったり、生活場面のちょっとした場面にサポートがないだけで、自宅での生活が成立しなくなってしまうというケースも多くあるので注意が必要です。

身体面のケア

私は、訪問した際に家族の方の調子を伺うようにしています。特に利用者さんのキーパーソンが夫や妻である場合、年齢的に近ければ利用者さんと同様になにかしらの悩みを持っている方が多いからです。

利用者さんのバイタルチェックをした後にご家族のバイタルチェックをさせてもらったり、気になっている症状があれば話を聞き、必要に応じて受診の促しやケアマネジャーや看護師と情報共有を図るように努めています。

家族を気にかける習慣が身を結んだ事例

ある利用者さんのケースでは、介護をしていた奥さんから腰痛の相談を受けたことがありました。症状の確認をした後、早めの受診をお勧めしました。

受診の結果は〝腰椎圧迫骨折〟と診断され、利用者さんは一時的にショートスティへ入所することになったものの、二週間ほどで自宅に戻ることができました。

その後は利用者さんがデイサービスを利用することにより、奥さん自身が行なっていた入浴や食事の負担を軽減した生活に落ち着かれました。

普段から家族の健康チェックする習慣を設けていたことで、奥さん自身も気軽に相談ができたことが身を結んだ出来事でした。

精神面のケア

訪問リハビリで介入している時間、同居されているご家族は何をしているかというと、多くの方は家や買い物など用事を済ませる方が多いのです。一方で熱心に介護をされている方ほどリハビリ場面に同席されている時間が多い印象を受けます。

そんなご家族の方の話を聞いていると〝介護疲れ〟や〝ストレス〟といった精神的な悩みを抱えていることが多くあります。

その原因は、責任感の強さから周りに相談をする機会がなかったり、介護保険サービスを利用することを〝楽をしている〟と捉えてしまい、全てを自分ひとりで抱え込んでしまうことにあります。

自宅で生活ができなくなってしまった事例

ある利用者さんの奥さんは〝夜間に利用者さんが意味なく起こしてくる〟という行動から睡眠がほとんどとれていないという悩みを打ち明けられました。

認知機能の低下した利用者さんの〝夜間せん妄〟が原因だったのですが、そのことを誰にも相談することが出来ずにいたようです。

そのため、私が訪問している間の1時間は、二階で休んでもらうよう提案をして、少しでも〝介護〟から離れる機会を設けてもらうようにしました。また、〝家族の休息〟を目的としたショートステイの利用も可能な旨を伝えていたのですが、結局利用するとはありませんでした。

そんな話をしてからわずか1ヶ月後、利用者さんの奥さんが帯状疱疹のため入院となってしまい、利用者さんは自宅で生活することが困難となり、娘さんの家でお世話になることが決まりました。

結果として、家族の方が調子を崩してしまうことで、利用者さんが〝自分の家で暮らす〟という生活が成り立たなくなってしまったのです。

まとめ

利用者さんの家族を大切にすることで気付けたことは、

⑴バイタルチェックや相談をする開会を作り、些細な異変も気づけるようにする。

⑵介護に力が入りすぎないよう、使えるサービスがあることを伝える。

⑶家族が元気でいることは、利用者さんが自宅で生活するために必要な要素のひとつと考える。

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