ありのままの姿がそこに
訪問リハビリで利用者さんの自宅に伺うと、待ってましたと言わんばかりにリハビリに意欲的な方もいれば、当然ですがリハビリなんてやりたくないという方もいます。
病院に在籍をしていた時にも患者さんがリハビリを拒否されるというケースは何度か遭遇したこともありますが、主治医の先生や病棟の看護師さんからの協力もあったためそこまで大変な思いをしたという実感はありませんでした。
実際に訪問リハビリや訪問看護として利用者さんの自宅に伺った時〝万が一拒否をされたらどうしよう〟と不安がいつも頭をよぎります。それでも、主治医が指示書を出し、担当のケアマネジャーさんが動いている以上、リハビリもなんとかして介入の余地を探し出さなければいけません。
モチベーションが低い場合
訪問リハビリで悩んでしまうことのひとつに〝モチベーションの低い利用者さん〟が挙げられます。訪問してみたものの利用者さん自身はリハビリに対する意欲は低く、どうしたら介入できるのかいつも悩んでしまいます。
こんな時〝この利用者さんはやる気がないからだめだな〟という評価をしていては先に進みません。こうした評価をしているうちは〝やる気がない理由〟についての評価できていないということになります。
〝もしかしたら高次脳機能障害の影響かも〟〝障害のある身体に悲観的になっているのかも〟〝もともと無気力な性格の方なのかも〟と原因を探ればいくつかは出てくると思います。おおよその原因がわかればその先の対策も具体性が出てくるのではないでしょうか。
例えば〝障害がある身体に悲観的になっている〟利用者さんの場合には、利用者さんの気持ちに寄り添って傾聴をした上で、これからリハビリでできることを提案するなど関わり方も明確な方法へと発展させられることができます。
リハビリ自体を拒否される場合
モチベーションが低い利用者さんの方が、まだよいほうかも知れません。理由は毎回介入できるチャンスがあるからです。リハビリに対する意欲が低くても、自宅に伺って話をしたり軽めの運動を取り入れることで気持ちの変化もおこりやすく、介入の余地は広がってきます。
私が訪問リハビリで一番大変だと思うケースは〝リハビリを必要としていない利用者さん〟のところへ伺うことです。家族やケアマネジャーさんの意向をはじめ、入院先の先生が必要だと思い指示書を出してくれているケースなど理由は多岐に渡りますが、答えはひとつ〝必要ないから帰って〟です。
先日お会いした利用者さんは、退院の条件として訪問リハビリを利用するように主治医の先生から言われていたのですが、私が伺うと〝頼んだ覚えはない〟〝必要ないから帰ってくれ〟の一点張りでした。
はじめはお話だけでもと思いコミュニケーションを図ろうと思ったのですが、この利用者さんも意志が強く平行線のまま途中で退室させて頂くことにしました。
やる気が無いならないなりに
いずれのケースにおいても、こちらが無理に明るくしてみたり、気丈に振る舞ってみてもあまり効果はありません。利用者さんの年齢や置かれいてる状況を踏まえると、リハビリをできるほど余裕を持って過ごせている方の方が少ないかも知れません。
介入の余地があれば多少の尽力も苦になりませんが、前提としてやりたくないものはやりたくないですし、いらないものはいらないのです。
措置としてサービスがあるのではなく、自身で必要なサービスを選ぶ時代になったからこそ、利用してみて必要性を感じてもらえなければそのサービスは終了してもよいのだと思います。
まとめ
訪問リハビリで接しにくい利用者さんがいたら
⑴やる気がない場合はまだ介入のチャンスがあるので原因を評価してみる
⑵リハビリ自体を拒否されている場合は状況によっては引き際も肝心
⑶無理して介入を続けてもお互いに心をすり減らすだけなので良い方向には進まない
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