訪問看護ステーションに寄せられるクレーム

気づいたこと

クレームに隠された真実

訪問リハビリの分野で仕事をしていると、利用者さんや家族からクレームを頂くことがあります。院内でリハビリをしていた時にはあまり〝クレーム〟を聞く場面は少なかったのですが、訪問看護ステーションに勤務するようになってからはかなりの頻度で耳にするようになった気がします。

これには、訪問という環境だからこそ生じてしまうクレームも含まれており、在宅でサービスを受ける利用者さんの心理的な変化も大きく関係しているように思います。

上着を置く場所が違う

以前勤務していたステーションで、同僚が遭遇したケースです。冬の時期、はじめて訪問リハビリを利用される家に彫琢した際、来ていた上着をストーブの近くに置いてしまったために生じたクレームです。

リハビリを受けている約一時間の間、ずっと上着が燃えてしまわないかハラハラしながら過ごしていたため疲れてしまったそうです。その担当者はそれ限りで変更をされてしまったそうです。たしかに利用者さんがリラックスしてリハビリを受けられないのであれば仕方がないことなのかもしれません。

しゃべり方が気に入らない

これも初めて聞いた時にはびっくりしたのですが、ある女性スタッフが初回訪問で伺った日の夕方、利用者さんのご家族から担当者を変更してもらいたいという連絡が入りました。

理由は〝しゃべり方が気に入らない〟とのことでした。その女性スタッフが関西出身だったことが影響して、独特のイントネーションが肌に合わないというのがご家族の主張でした。

のちのち詳しく確認していみると、ただ〝苦手なタイプの人〟だったことがわかりました。不自然な理由で頂くクレームの裏には、なにか別の主張が隠されているのかもしれません。

リハビリを受けたら症状が悪化した

ある利用者さんからリハビリを終了したいという連絡が入りました。どのような理由でリハビリを終了したいのか詳しく聞いてみると〝リハビリを受けると腰痛が悪化する〟との返答がありました。

後日、担当の理学療法士に経過を確認すると、一ヶ月前より運動メニューは拒否されており、腰部のリラクゼーションのみを実施していたとのことでした。それだけの内容で腰痛が悪化するというのは疑問が残ります。

そこで、お詫びの連絡を兼ねてご家族に真相を確認してもらうと、担当者との相性が合わないと感じるようになったためリハビリを終了したかったという理由を打ち明けてくれました。

これらのクレームに通ずる共通点

上記で紹介したクレームの共通点は〝自分が気にいるかどうか〟ということになると思います。上着を置く位置が気に入らない。話し方が気に入らない。性格が気に入らない。一見利用者さんがわがままを言っているようにも見えますが、訪問リハビリは家に招き入れてもらい行うサービスです。

様々な医療従事者が関わる入院期間は違い、訪問リハビリでは、リハビリの内容よりも担当者のことが強く印象に残ってしまうものです。リハビリの腕がよいというだけでは、利用者さんに満足してもらうサービスを提供することはできないということなのでしょうか。

まとめ

訪問リハビリにおけるクレームから考えること

⑴利用者さんに気に入られていないサイン。

⑵リハビリ内容よりも、余計なひと言が印象に残ってしまうので要注意。

⑶はじめのうちは、利用者さんの性格に合わせた立ち振る舞いが無難。

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