採用面接から垣間見える看護師とセラピストの未来像

働き方について

資格があればどこでも働ける時代は去りつつあるのか

私はこれまで、二ヶ所の訪問看護ステーションに在籍をしていました。いずれの事業所においても求人に関する業務に携わる機会があり、訪問場面の見学、会社説明会、面談といった仕事を通じていろいろな経験をすることができました。

訪問看護ステーションの求人は、基本的に看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の4職種のみが対象となっています。そんな中で、求人の問い合わせ対応、職場見学や面接に携わっているうちに看護師さんとセラピストでそれぞれが置かれている現状に違いがあるのではないかということに気づいたのでまとめてみました。

引く手数多の看護師さん

私は作業療法士の資格を持っているので、基本的のリハビリ職の見学や面談が中心でしたが、時間があれば看護師さんの面談にも顔を出していました。普通の病院ではリハビリと看護師の面談が混同されることはまずありえないのですが、そこを経験できるのが訪問看護ステーションならではのポイントです。

看護師さんの求人でいつも話題に上がるのが〝給料を上げることはできないのか〟という質問です。私が勤務しているステーションは求人票に基本給を明記しているのにも関わらず、多くの方が給与面での交渉を持ちかけてきます。

この点について同僚の看護師さんに聞いたところ、病院勤務の看護師は夜勤手当等で稼げていたが、夜勤のない訪問看護ステーションでは給与面の魅力は少ないとのことでした。それでも看護師の採用に力を入れている事業所は多く、こうした交渉も実を結ぶことがあるようです。こうした行動からも、看護師さんはまだまだ売り手市場にあって資格の価値が高いということを裏付けているように思います。

十分足りてるセラピスト

いっぽうで理学療法士や作業療法士の求人状況はというと、通年して求人の問い合わせがとても多いというのが現状です。また、そのほとんどが近隣の病院に勤めているセラピストからの申し込みのため、病院から訪問看護ステーションに流れ出てきたという印象を強く受けます。最近では、理学療法士の申し込みが大半を占めているというのも気になるところではあります。

ちなみに、セラピストの面談ではボーナスの基準や理論年収を確認する人はいますが、看護師のように給与の交渉をする人はひとりもいません。この点について少し調べてみたところ、病院の給料より訪問看護ステーションの給料が高く設定されているためではないかという結論に至りました。転職をするだけで病院で働いているよりも給与が上がるのであれば、それほど嬉しいことはありません。

そのせいか最近では、今の勤務先で訪問リハを展開しているのにも関わらず、訪問看護ステーションへの転職を希望する方もいるほどです。働きがいをどこで感じるかは人それぞれの感性ですから、給与面が指標になっても何も問題ありません。

二職種の違いから見えてくるこれから先の話

現状では、訪問看護ステーションにおける看護師さんのニーズは常に高い状況にあります。それは、訪問看護ステーションを運営していくうえで必要不可欠な資格だからです。そんな背景を知っていればおのずと面接時の態度も大きく出れてしまいます。

反対にセラピストが置かれている状況は、あまりよいとは言えない気がしています。毎年増える有資格者についての問題もありますが、訪問看護ステーションに限って言えばセラピストが訪問した時の単価は下方修正され、定期的な看護師の訪問が義務化され、ますますブランド価値が下がっているように思えてなりません。これからどのように生き延びていけばよいのか、真剣に考えていかないといけない時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。

まとめ

看護師さんとセラピストの求人状況から

⑴看護師の求人問い合わせは少なく、給与面で交渉する人が多い。それだけ必要とされている資格。

⑵セラピストの求人は増える一方。特に理学療法士の動きが活発な印象。

⑶これからの市場価値の低下に備えて、何か対策を講じておいたほうがよいのでは。

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